【カムカムエヴリバディ】深津絵里にはできて、岡田結実にはできなかった演技とは!

 それは年齢の問題なのか、それとも演技力が理由なのか。意外に感じた視聴者も少なくなかったようだ。

 3月16日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第95話では、大月るい(深津絵里)が家族を伴って、父方の実家である岡山の雉真家に里帰りする様子が描かれた。

 高校を17歳で中退した昭和37年以来、32年ぶりに訪れた雉真家では、叔父の勇(目黒祐樹)が大月家を出迎えた。妻の雪衣(多岐川裕美)も健在で、息子や孫たちについてるいに語っていたが、このシーンに視聴者から驚きの声があがっていたという。

 本作の「安子編」では主要人物だった勇と雪衣。当時、その二人を演じていたのは村上虹郎と岡田結実だったが、今回の第95話では目黒と多岐川に代わっており、<別の役者さんが演じるの?>と驚く視聴者も多かったようだ。

「現在進行中の『ひなた編』では、るい役の深津が17歳から49歳までを一人で演じています。同様に夫の錠一郎もオダギリジョーが21歳から53歳までを演じていますし、るいの叔父である算太に至っては濱田岳がなんと13歳から73歳までをすべて一人で演じていました。それならばおそらく60代前半であろう雪衣に関しても、そのまま岡田に演じてほしかったという声が出るのも不思議ではありません」(テレビ誌ライター)

 片や深津にはできて、岡田にはできなかった「年の差演技」。これは女優として円熟期にある深津と、まだ駆け出しの若手女優に過ぎない岡田との差が表れた結果なのだろうか?

「49歳にして17歳の若きるいを演じる深津の凄みは簡単には真似できないところ。だからと言って21歳の岡田が60代の役を務められないことを責めるのもまた、お門違いというものでしょう。今回、雪衣に求められたのは、算太が失踪してから43年という歳月の重みを表現すること。そのためにはその歳月にふさわしい風格や存在感が必要です。それを21歳の岡田に期待するのはさすがに無理が過ぎるというもの。今回は多岐川が雪衣を演じたことで、算太にまつわる思い出話にも説得力が増したに違いありません」(前出・テレビ誌ライター)

 雪衣役に多岐川を充てる以上、勇役も村上のままというわけにはいかず、年齢やキャリアの面で多岐川との釣り合いがとれる目黒が演じたのは当然の配役だろう。

60代の雪衣を演じた多岐川裕美。その存在感には視聴者も納得だろう。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

 それに本作ではすでに、同じ役を二人の女優で演じ分ける前例があったという(子役時代を除く)。

「それは赤螺吉右衛門の母親、清子です。るい編では宮嶋麻衣が務めていましたが、70代を迎えたひなた編では松原智恵子が演じています。なお宮嶋はひなた編にも、吉右衛門の妻・初美として引き続いて出演。こちらは吉右衛門が《母親の若いころにそっくりな嫁をもらった》という設定を反映したキャスティングとなっているのが絶妙ですね」(前出・テレビ誌ライター)

 第95話では回想シーンにて、若かりし頃の雪衣として映っていた岡田。彼女も40代を迎えるころには、娘時代と母親時代を一人二役で演じるようになっているのかもしれない。