えっ、そんな基本的なところから尋ねちゃうの? その言葉に驚く視聴者も少なくなかったことだろう。
3月31日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第106話では、ヒロイン・大月ひなた(川栄李奈)の実家である京都の「回転焼 大月」に、岡山から大叔父の雉真勇(目黒祐樹)が訪ねてきた場面があった。
ひなたの母親・るい(深津絵里)にとって亡父の弟にあたる勇は、いまや岡山を代表する企業となった雉真繊維の社長。17歳で雉真家を出て以来、実家には一本の便りも送っていなかったるいだったが、1993年末に母親・安子の兄である算太(濱田岳)を看取ったことをきっかけに、翌1994年の夏には32年ぶりとなる帰省を果たすことに。それ以来、雉真家と大月家は良好な親戚関係を維持していたようだ。
久しぶりに会った大叔父の勇に、ひなたは「桃太郎、元気にしてる?」と質問。すると勇は「ああ。わしに似て名サードじゃ」と答えていた。何気なさそうなこの会話に、一部の視聴者からは<いまさら!?><それだけ!?>といった声があがっていたというのである。
「ひなたの弟である桃太郎(青木柚)は高校卒業後、岡山の大学に進学。その資金はかつて雉真家が、るいのために貯めておいたお金を使っていたようです。ただ桃太郎が最後に登場したのは岡山に旅立つ日のことで、それ以降は桃太郎について触れることはなく、物語的にはすっかり忘れ去られた存在に。昭和52年(1976年)生まれの桃太郎は作中の2002年には26歳を迎えるはずですが、どこで何をやっているのかさえ描かれていませんでした」(テレビ誌ライター)
翌4月1日放送の第107話では、勇の妻・雪衣(多岐川裕美)が入院する病院を見舞ったるい。その際に「桃太郎から電話もろて」と語っており、ここにきて桃太郎が大学卒業後も岡山にいることが改めて示された形となった。
京都西陣高校の野球部ではレギュラーになったものの、甲子園には出場できなかった桃太郎。雉真繊維は社会人野球の名門チームだが、高卒ですぐに入社することはせず、まずは大叔父の家に居候する形で大学に通ったようだ。
その大学名も明示されていないものの、野球好きのあいだでは全日本大学野球選手権に7回の出場歴を持つ岡山商科大学の名前をあげる者も少なくない。もちろんドラマゆえ、筋書き的には架空の大学を設定していた可能性もあるだろう。
「桃太郎としてもプロを目指したかったはず。しかし未だに岡山にいるということは、大学からそのまま雉真繊維野球部に進み、現在も社会人野球チームのレギュラーとして活躍しているようです。将来的には、社長の姪孫ですからそのまま雉真繊維で働いてもよさそうなものですが、本作のストーリー的には別の道を選ぶような気もします」(前出・テレビ誌ライター)
社会人野球の経験者は、指導者として球界に残るケースが少なくない。桃太郎の立場だと、雉真繊維野球部の本拠地である岡山県内なら引く手あまたになりそうなもの。だが桃太郎には別の進路がありそうだ。
「桃太郎は高校在学時、姉・ひなたの同級生で幼馴染の小夜子(新川優愛)に恋い焦がれていました。その小夜子は桃太郎の高校に教員として勤めており、桃太郎は教師と生徒による禁断の恋を見ていたもの。その夢こそ破れましたが、桃太郎は故郷・京都の高校に指導者として舞い戻ることで、小夜子に対して《野球で成功した自分を見せたい》という希望を抱えているのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
4月8日に最終回を迎える「カムカムエヴリバディ」では現在、数々の伏線を絶賛回収中。そのなかで桃太郎の今後も示されるのであれば、地元の京都に戻って高校野球指導者として活躍している姿を見ることができるのかもしれない。