【カムカムエヴリバディ】るいが52年ぶりに贈った「アイラブユー」…わだかまりは一瞬で溶けていた!

 その回想シーンは夢想なのか…いや、時を超えた現実に違いないのだろう。

 4月7日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第111話では、るい(深津絵里)がついに、アニー・ヒラカワこと母親の安子(森山良子)に再会するシーンが描かれた。

 前々回の放送で大阪のラジオ番組に出演したアニーは、自分が安子であることを告白。そのラジオを聴いていたるいは、母が健在であり、実はすぐ近くにいたことを知ったのであった。

 るいの娘・ひなた(川栄李奈)は、アメリカに帰国しようとするアニーを関空まで探しに行くも、空振りに。失意のまま岡山のコンサート会場まで戻ると、会場の前にたたずむ祖母を発見。岡山中を駆け巡った逃走劇の末に、ひなたはアニーをおぶって会場に戻ったのであった。

「その道すがら、ひなたはアニーに『おばあちゃん、後悔のない道を選んでよ』(Grandma, Choose the path with least regrets.)と語り掛けました。この言葉は3月29日放送の第104話にてひなたが、かつて恋人だった五十嵐文四郎(本郷奏多)と10年ぶりに出会ったことを告白した際、アニーが贈ってくれた言葉そのもの。その時アニーは、自分の内心に秘めていた決意を口にしたのかもしれません。その決意が2年の時を経て、孫から祖母へとあらためて伝えられたわけです」(テレビ誌ライター)

 クリスマスライブの会場に到着し、るいが歌っている姿を目の当たりにしたアニー。そのステージに立つるいは、過去50年以上にわたって一度も見せたことのない額を露わにする髪型となっていた。

 その額には子供の時についた傷跡がくっきり。母・安子(演・上白石萌音)の自転車事故が原因でついた傷は、娘・るいの心にも深い傷を残していた。そこから59歳になる現在に至るまで隠し続けてきた傷を、いまあえてさらしていたのである。

「ラジオでの告白を通して母・安子が生きていることを知ったるいは、自分を置いてアメリカに渡ってしまった安子のことを許していたのでしょう。ステージで歌っている時点では、帰国便に乗ってアメリカに帰ったアニーとはもう二度と会えないものと覚悟していたはず。それでもるいはあえて自ら額をさらすことで、母親を許した自分を表現してみせたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 だがアニーは帰国便に乗ることなく、ひなたに背負われたままコンサート会場に到着。ステージで「サニーサイドオブザストリート」を歌い始めたるいは、会場の扉を開けて入ってきたアニーの姿を見て絶句。一番を歌い終わったところでステージを降り、母親と52年ぶりの再会を果たしたのである。

 失われた歳月を取り戻すかのように、しっかりと抱きしめ合う二人。そこから1分30秒にわたって抱き合う二人と、それを見守る家族たちの姿を映し出したあと、るいは「お母さん。アイ・ラブ・ユー」との言葉を絞り出したのであった。

52年の時を経て再会した安子とるい。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。

「52年前の昭和26年、安子に対して心を閉ざしたるいが、額の傷を見せつけながら最後に語った言葉が『アイ・ヘイト・ユー』(大嫌い)でした。そして時を経て再会したこの日、るいは再び額の傷を見せながら、今度は『アイ・ラブ・ユー』(愛してるよ)と真反対の言葉を口にしたのです。これはるいと安子の二人の間だけで通じる合言葉のようなもの。この一言で、母娘のわだかまりが一気に氷解したのは間違いないでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 ここで場面は52年前の回想シーンに。そこでは幼いるいが扉を閉めることなく、安子を受け入れていた。そんな二人を包み込む、柔らかな日差し。本来は雨だったはずの記憶が、52年ぶりの再会を経て、ひなた(サニーサイド)の場面へと塗り替えられていったのだろうか。この日、安子とるいの母娘は、時を超えてすべての誤解とわだかまりを乗り越えることができたのだろう。

安子とるいは、かつて二人でひなたの道を歩いていたころに戻ることができたに違いない。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター(@asadora_bk_nhk)より。