その姿に気が付いた視聴者は、驚きを隠せなかったのではないだろうか。
5月2日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第16回では、眞境名商事の内定を自ら蹴ったヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が、自分の将来について思い悩む姿が描かれた。そのなかで、多くの視聴者には思いもよらない場面があったという。
内定を辞退した翌日、炊事当番の暢子は朝食のソーミンチャンプルーを作るものの、自ら「麺の炒め具合が今一つ!」とダメ出し。ダメ長男の賢秀(竜星涼)から「仕事の決まらないイライラが料理の味に出たか」と茶化され、キッと睨み返したものの、反論の言葉が出てこない様子だった。
そうこうするうち、早めに朝食を終えた三女の歌子(上白石萌歌)はいち早く登校。カバンを手に慌てて家を出て行った。どうやら彼女は無人の音楽室でピアノを触ったり歌ったりする時間を楽しみにしており、早くから登校しているようだ。そんな何気ないシーンに、驚きの箇所があったという。
「家を出ようとする歌子の足元を見ると、靴下を履いていません。彼女はなんと素足のままズックを履いて登校していったのです。続いて小学校教員の長女・良子(川口春奈)も裸足のまま、白い靴を履いて出勤。そして暢子も同様に、靴下を履くことなく素足に直接ズックを履いて登校していました」(テレビ誌ライター)
しかし、借金を抱える比嘉家がいくら貧乏とは言え、年ごろの三姉妹が全員、靴下を履いていないとはどうしたワケなのか。まさか消耗品の靴下はよっぽどのぜいたく品だったのだろうか?
ところが暢子や歌子の高校に通う生徒たちの足元を見ると、素足の生徒が多いことに気づく。暢子が学校の門を通る場面では、他の女子生徒も多くが素足。しかも歌子に熱烈な興味を抱いている音楽教師の下地響子(片桐はいり)でさえ、靴下を履いていないのだった。
「その理由としてはまず、沖縄の生活文化があげられそうです。家の中で足元をどうしているかのアンケート(at home VOX 調べ)によると、沖縄には裸足でいる人が全国一多いことが判明。フローリングでは67.7%、畳でも同じく67.7%、そしてキッチンでは実に71.0%の人が裸足だというのです。そういった現状に加えて、この『ちむどんどん』の舞台が昭和46年(1971年)であることも見逃せない要因の一つでしょう」(沖縄マニアのライター)
ここで振り返りたいのが第1回にて、賢秀らが東京から来た転校生の青柳和彦(田中奏生)に初遭遇した場面だ。山原村にバスで到着した和彦を遠くから眺めていた賢秀は、学校で「ヤマトンチュ見たよ!」と報告。級友たちからどんな人かと問われると「靴下履いてる!」と説明したのである。
すると級友たちは「まさか!」と驚くことに。この場面は昭和39年(1964年)だったが、そのころは山原村で靴下を履いている中学生など、ほとんどいなかったようだ。
「そこから7年が経った第16回の作中では、暢子の親友である前田早苗(高田夏帆)など、靴下を履いている生徒も増えていた様子。それでも大人や子供、男女を問わずに靴下を履かない人は珍しくなかったようです」(前出・ライター)
ちなみにヒロイン役の黒島結菜も裸足派とのこと。4月30日放送の「土曜スタジオパーク」(NHK)ではVTR出演した歌子役の上白石萌歌から、黒島は裸足ですいすいとどこにでも歩いていくとバラされていた。やはりウチナンチューには裸足が似合うようだ。