【ちむどんどん】黒島結菜が「私がそこにいた事実」に満足した場面とは!

 たとえ画面に映っていなくても、彼女はそのシーンに満足していたようだ。

 NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」では5月13日放送の第25回で“やんばる編”が終了。次週からは上京した暢子の日々を描く東京編へと移り変わることとなった。

 その第25回では終盤、沖縄が日本に返還された昭和47年(1972年)5月15日に、暢子が東京に向けて旅立つことに。比嘉家の3姉妹と母親の家族全員で、名護行きのバスを待つ姿が描かれていた。そのシーンでは主題歌「燦燦」(三浦大知)のアコースティックVer.が流れ、感動の場面を盛り上げていたが、そこにちょっとした秘密が隠されていたという。

「一つはここで流されたのが2番だったこと。ドラマのオープニングでは1番だけが流されているため、ここで初めて2番を聴いたという視聴者も多かったことでしょう。そしてもう一つは主題歌とは別にこの場面を彩っていたBGMです。それはウージ(さとうきび)が風に揺られている音。5月13日に公式サイトで公開された期間限定動画の『黒島ラヂオ week #05』では、その事実を知った黒島が『もう一回見なきゃじゃん!』と驚いていました」(テレビ誌ライター)

バス停で家族との別れを惜しむ暢子。この背景にウージの草擦れ音が聞こえていた。トップ画像ともに©NHK

 黒島本人もその場にいたことからウージが出す音を聞いていたはずだが、芝居に熱中する彼女はその音を意識していなかったのかもしれない。一方で制作側は、ともすれば会話を妨げる雑音になりかねない草擦れ音をあえて、やんばるの景色を彩る効果音として活かしていたようだ。

 そんな小粋な演出が光る別れの場面にはもう一つ、黒島が驚いたシーンがあったという。それは彼女の乗るバスが海を見下ろす道を走っていく様子をドローンで空撮したシーンだったというのだ。

「晴天に恵まれたこの日、やんばるの緑深い自然と青い海、その中を白とオレンジのバスが走っていく絵は、それだけで沖縄らしさに満ちあふれていました。このシーンではかなり上空からバスを映していましたが、そのバスには実は黒島が乗っており、窓の外を見ながら故郷を離れる思いにふける演技をしていたのです。黒島自身は『乗ってたんだけど(自分の姿が)一個も見えてなかった』と振り返っていましたが、現場でドローンの映像をチェックした際には『素晴らしいカットじゃん!』と感動し、『乗っててよかったな』と実感していたそうです」(前出・テレビ誌ライター)

番組名物の「ちむどん号」で去っていく暢子。その後も車内で演技を続けていたようだ。©NHK

 黒島によると「映ってなくても、そこにいたという事実」が嬉しかったという。役者というのはたとえ自分の姿が見えなくても、そのシーンに関われたことに喜びを見いだすことがあるようだ。