【ちむどんどん】暢子が上司を呼び捨て?脚本家の遊び心に「視聴者気づかず」の悲劇!

 クスッと笑わせるところなのに、その意図はほとんど伝わっていなかったようだ。

 5月31日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第37回では、東洋新聞社でボーヤ(雑用係)を始めたヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が、不慣れな業務に四苦八苦する姿が描かれた。

 沖縄県内でも片田舎の山原村で生まれ育った暢子。東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で働き始めて1年半が経ったものの、言葉遣いなど社会人としての常識はまだ身についていない有様だ。

 そのためオーナーの大城房子(原田美枝子)は暢子に社会人としての作法を身につけさせるため、懇意にしている東洋新聞社学芸部デスクの田良島甚内(山中崇)に、暢子をボーヤとして鍛えてもらうように依頼していた。

 その田良島いわく、暢子は「真面目で正直で明るくて、人柄は百点満点」だそうで、「オーナーが期待されるのも納得です」という。

「口さがない視聴者からは《常識がなさすぎる》《相手に対して失礼》などさんざんな評判の暢子ですが、ボーヤの仕事では周りから言葉遣いを注意されるたび、メモ帳に書き込むことで覚えようとしていました。レストランでの修行中にも同じように料理についてメモしていましたし、どうやら彼女は書いて覚えるタイプのようです」(テレビ誌ライター)

 なにしろ田舎育ちで天真爛漫、しかも初めての仕事がコックとあって、下働きをしながら料理を覚えることに集中していることから、敬語や社会常識を学ぶのは後回しになってしまうのだろう。

 一方で人柄の良さは、横浜・鶴見で下宿している沖縄料理店にて周りと打ち解けていることでも分かるというもの。おそらく暢子と接していれば、その魅力に惹きつけられることは間違いなさそうだ。

暢子の真面目な性格を見抜いていた田良島デスクだが、まさか呼び捨てされることになるとは。トップ画像ともに©NHK

 しかし、視聴者からは暢子への批判が続出。制作側が意図している「天真爛漫さ」や「人を惹きつける魅力」はほとんど伝わらず、社会常識のなさや言葉遣いの荒さばかりが目立っているのが現実だ。そのため脚本家が狙った遊び心のやり取りも、その意図がまったく伝わっていなかったというのである。

「それは暢子が『田良島! いま電話が…』と上司を呼び捨てにし、周りがシーンとなった場面のこと。このセリフに視聴者からは《呼び捨てなんて非常識すぎる!》《バイトの分際で何様だ?》といった批判が続出していました。しかしその直前には電話を受けた暢子が『田良島さんはいまお昼休みで』と受け答えし、別の社員から『身内に「さん」は付けない』と注意されていたのです」(前出・テレビ誌ライター)

 つまりこの場面は電話口での「さん付け」を注意された暢子が、上司本人に対しても「さん付け」せずに話しかけたという、おっちょこちょいぶりを示すエピソードとなっていた。

 本来ならクスッと笑うべきところだが、暢子の振る舞いが視聴者をイラつかせるほど常識外れだったために、脚本家の遊び心が視聴者には伝わらなかったのである。

「制作側の意図が伝わらないのは、あまりにご都合主義な展開ばかりの脚本にも原因があるはず。今回も新聞社内で幼馴染の青柳和彦(宮沢氷魚)に再会したという偶然はともかく、その和彦がなぜか暢子の下宿で隣人になるという偶然まで重なった日には、視聴者も『それはないだろう』と呆れずにはいられません」(前出・テレビ誌ライター)

 本来であれば、接した人すべてを虜にし、笑顔にする魅力にあふれている暢子。その魅力がご都合主義の台本で台無しにされていると嘆いている暢子ファンの視聴者も少なくないのではないだろうか。