江口のりこが赤ちゃんの世話!ドラマ「悪女(わる)」が鮮やかに描いた子育て勤務の難しさ

 こんな江口のりこ、見たことない! そのシーンを我が身のように感じたママたちも少なくなかったようだ。

 6月1日放送のドラマ「悪女(わる)〜働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?〜」(日本テレビ系)第8話では、IT企業の執行役員を務めるキレモノ社員の峰岸雪(江口)が、保育園に幼児二人をお迎えに行き、全力であやす姿が視聴者の目を惹いたようだ。

 しかし独身の峰岸がなぜ、幼児をあやしているのか。それは、かねてより目を掛けている若手社員で主人公の田中麻理鈴(今田美桜)が、とっておきの「お助け券」を使ったから。麻理鈴のクレージーな突破力に期待している峰岸は、社内政治の割を食って窓際部署の備品管理課に飛ばされた麻理鈴に「ここぞって時に使いなさい」と、お助け券を渡していたのだった。

 社内でも次期取締役の有力候補とみなされている峰岸ゆえ、その気になれば出世欲の強い麻理鈴にチャンスを与えることも容易なはず。ところが麻理鈴はそんな貴重な「お助け券」を、同じ備品管理課で働くワーキングマザー・間宮マミコ(桜井ユキ)のために使ってしまったのである。

「麻理鈴が頼んだ“お助け”は、マミコの代わりに彼女の子供二人を保育園にお迎えに行き、マミコの仕事が終わるまで麻理鈴の自宅で預かるというもの。しかし育児経験のない峰岸に二人はなつかず、兄の翔くんは『イヤだーっ』を連発。まだ赤ん坊の花恋ちゃんは抱っこされながらギャン泣きしていました。途方に暮れた様子の峰岸は、敏腕のキャリアウーマンらしくない困り顔を見せていたのです」(子育て中の女性誌ライター)

 峰岸が装着していた抱っこ紐は、子育てママなら誰でも知っている人気ブランドの「エルゴベビー」。視聴者からは<私も同じ色のエルゴ使ってた!>といった声もあがっていたようだ。

 麻理鈴とマミコが帰宅した場面では、ひまわりの被り物を身に付け、翔くんを「ベロベロバー!」とあやしていた峰岸。演じる江口はこれまで中高生の母親役や小児科医役を務めたことがあるものの、乳幼児の母親役はほとんど経験がないはずで、彼女が子供をあやすシーンはそれだけでも貴重だったことだろう。

頭にはひまわりの被り物、胸には抱っこ紐のエルゴを抱き、全力で子供たちをあやしていた峰岸(江口)。トップ画像ともに©日本テレビ

 そんな江口の真に迫った演技に視聴者が感心するなか、制作陣が描こうとしているワーキングマザーの真実にもまた、理解の声が寄せられているというのである。

 本作では働く女性が直面するガラスの天井など、企業内での男女差別を大きなテーマの一つとして描いており、峰岸は3年以内に管理職の女性比率を5割に引きあげるプロジェクトの「JK5」を推進している。しかし日本中の企業には今回のマミコのように、子育てしながらの勤務に苦労しているワーキングマザーが大勢いるのだ。

「その現実を描くのに、当事者のマミコが苦労している姿ばかりを映したのでは、観ているほうも心が辛くなるというもの。そこを『悪女(わる)』ではあえて、キレモノキャラの峰岸に道化を演じさせることで、子育て勤務の大変さをコミカルかつリアルに描いたのではないでしょうか。一方でマミコ役の桜井も今年結婚したばかりでまだ子供はいませんが、35歳という年齢も相まってママ役がハマっていました。それもあって今回の第8話はドラマとしても問題提起としても、見応えがあったように感じられます」(前出・女性誌ライター)

 もちろんドラマゆえ、麻理鈴の家で眠ってしまった子供二人をどうやって連れて帰るのかなど、詰めの甘い点も見え隠れしているもの。それでも峰岸(江口)が子供をあやすシーンだけでも、この第8話を観る価値があったのではないだろうか。