【ちむどんどん】大城房子オーナーの財産を、賢秀が絶対に相続できないワケ!

 やはり賢秀の思い付きは、浅知恵に過ぎなかったようだ。

 6月7日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第42回では、東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」の大城房子オーナー(原田美枝子)が、ヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜)の親戚であることが判明した。

 暢子はフォンターナの取材記事が掲載された「東洋グラフ」を沖縄の実家に郵送。すると母親の優子(仲間由紀恵)が大城オーナーの名前を見て、父親の賢三(大森南朋)が亡くなった時に、4きょうだいの一人を引き取ってもいいとの手紙を送ってきた「東京の叔母さん」であることに気づいたのである。

 大城オーナーは賢三の叔母であり、暢子らにとっては大叔母にあたる。言い換えれば暢子にとって父方の祖父母の姉妹というわけだ。この事実が判明したことで、大城オーナーが5月23日放送の第31回にて、賢三の名前が彫られた包丁を見て「ちょっと因縁があるのよ」とつぶやいていた理由も明らかになった形だ。

「大城オーナーは暢子が血縁関係に気づいた後も『どこの出身とか誰の親戚とか一切関係ない』と断言。姪孫だからといって甘い対応はしない態度を明確にしました。一方で暢子は、大城オーナーが自分に厳しくするのは『親心』だと納得。東洋新聞社のボーヤ(雑用係)に出向させたり、おでんの屋台を任せられたのも『娘のように思って、可愛くて、立派な料理人に育てたくて』と納得していたのです」(テレビ誌ライター)

 二人の思惑が合致しているのか、それともすれ違っているのかはなんとも微妙だが、少なくとも暢子が屋台の仕事に打ち込む動機になっていることは確実だろう。

 そんな暢子とは違って、常に自分のことしか考えていない長男の賢秀(竜星涼)は、大城オーナーとの血縁をチャンスととらえた様子。オーナーには夫も子供もいないことから「レストランの店と土地、大城房子の財産を相続するのは…」とつぶやき、ひとりニヤついていたのである。

銀座で「紅茶豆腐」を路上販売しているところを暢子に見つかった賢秀。どこまでもめげない男だ。トップ画像ともに©NHK

 その発言を妹の暢子は「何考えているワケ!?」と咎めていたが、賢秀が日本随一の一等地である銀座の土地と建物を狙っているのは確実だろう。だがその目論見は、そもそも望みゼロだというのである。

「結論から言うと、賢秀や暢子の比嘉きょうだいには大城オーナーの遺産を相続する権利がないのです。相続の優先順は一番目が子や孫の直系卑属ですが、オーナーには子供がいません。二番目の親はとっくに亡くなっているでしょう。三番目は兄弟姉妹、すなわち賢三の親ですが、これまた亡くなっています。この場合には『代襲相続』といって兄弟姉妹の子供である賢三には相続権が発生するものの、さらにその子供である賢秀や暢子には代襲相続の効力が及ばないのです。民法では相続の範囲を明確に定めており、賢秀がいくら『俺は甥孫だ!』と主張したところで、彼の取り分は1円もありません」(週刊誌記者)

 そうなると、いずれ大城オーナーが亡くなった場合には、銀座の土地や財産は相続人なしとして国庫に納められてしまうのだろうか?

 それを回避する方法は二つある。ひとつは大城オーナーが遺言状で相続人を指名すること。この場合は基本的に誰でも相続人にすることができる。そしてもう一つは養子をとることだ。実際、賢三が亡くなった時には4きょうだいの一人を引き取ってもいいと申し出ていた。

「最終回までに大城オーナーが亡くなるかどうかはまだ分かりませんが、作中の昭和49年時点ですでに60歳前後でしょうから、現在二十歳である暢子の晩年までを描くなら、先に亡くなっても不思議はありません。その場合に比嘉家の誰かに相続させるなら、一度は手元に置こうとしていた暢子になることは確実でしょう。その一方で信頼を置く二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)に財産を譲り、店の存続を希望する可能性もありそうです」(前出・テレビ誌ライター)

 ともあれ、賢秀が大城オーナーに期待できることは何もなさそうだ。