【ちむどんどん】暢子のシェフ代行を後押しした二ツ橋シェフの“両足骨折”に「有り得ない」の声!

 もはやこの展開はご都合主義を越え、「想像力の欠如」まで飛んで行ってしまったのかもしれない。

 6月20日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第51回では、東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」に勤めるヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が、オーナーから“シェフ代行”に指名されるシーンで幕を閉じた。

 フォンターナ入店から6年目を迎え、料理人としての腕も上がってきた暢子。メイン料理を担当する花形ポジションの“ストーブ前”を任される機会も増えており、未だに店の前を掃き掃除するといった雑事もこなしつつ、料理人として一人前に成長してきたようだ。

 そんなある日、料理長で人望も厚い二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)が両足骨折の大怪我を負ってしまう一大アクシデントが発生。その日は残る料理人たちでなんとか切り抜けたものの、先輩料理人の矢作(井之脇海)はすぐにテンパってしまう性格を露呈し、料理中の暢子を押しのけたことで別のコックが持っていたソースの寸胴をぶちまけてしまうという大失態を犯していた。

「これらの展開が非難轟々となったのも当然でしょう。ヒロインの暢子にシェフ代行という新たな役目を任せることを目的に、二ツ橋シェフは両足を骨折、先輩の矢作は呆れるほど使い物にならず、他の先輩たちは誰もシェフ代行に手をあげようとしないなど、とても銀座の一流レストランとは思えない職場環境を描いてしまいましたからね。そもそも前週の放送では二ツ橋シェフが休暇をもらっており、その際には店も問題なく回っていたはず。その時と今回でいったい何が違うというのでしょうか」(テレビ誌ライター)

 ただ「ちむどんどん」では脚本家を含む本作の制作陣が、ドラマの公式ムックにて「僕たちおじさん3人は料理の知識が全くないんです」という無神経さをさらしていたもの。それゆえ銀座の一流レストランにまつわる描写に無理がありすぎるのも、むべなるかなだろう。

メイン料理の「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」(フィレンツェ風ステーキ)を焼くなどストーブ前の役目をこなしていた暢子。トップ画像ともに©NHK

 ただ今回のストーリーでは、料理以前の段階で「そんなことがありえるか!」とツッコまずにはいられない状況が描かれていたというのだ。それは二ツ橋シェフの両足骨折だというのである。

「二ツ橋はカニ取りしていた子供がおぼれていると勘違いし、救助しようとして海に転落。両足を骨折したそうです。その勘違いからしてアレですが、そもそも海に転落して両足を骨折した人が、脚以外にひとつのケガもなく生還できるでしょうか? というかそれほどの大怪我なら正直なところ、二ツ橋自身が溺死しそうなもの。よもやドラマの制作陣は海に行ったこともなければ脚を怪我したこともないのではと、そのレベルで怪しまざるを得ないほどに無理のあるストーリーだったのです」(前出・テレビ誌ライター)

 そもそもカニ取りしている子供を助けようとして、両足を骨折してしまうというシチュエーションからして謎だ。そんな重要なエピソードを映像で描かないところに、「ちむどんどん」がなぜこれほど視聴者から批判されるのかの理由が詰まっているのではないだろうか。