そのわずか数秒間のシーンに、今後の展開が示唆されていたのかもしれない。
7月5日にスタートしたドラマ「ユニコーンに乗って」(TBS系)。教育系スタートアップ企業のドリームポニーを率いる若きCEOの成川佐奈(永野芽郁)が、仲間の協力を得ながら会社も自分も大きくなっていく成長物語だ。
第1話では、さらなる成長を目指して即戦力を求めるドリームポニーに、48歳の元銀行員・小鳥智志(西島秀俊)と天才エンジニアの森本海斗(坂東龍汰)が採用されたいきさつが描かれた。ここでさっそく視聴者からは、様々なツッコミが寄せられていたという。
「最も不自然だったのは小鳥が提出した履歴書。平成9年にいなほ銀行に入社した小鳥は東京の立川支店に配属され、平成24年に支店長に昇進したと書かれていました。しかし銀行において、最初の配属地から一度も異動することなくそこの支店長に昇進することなどありえないというのが常識。制作側としては《銀行の元支店長》という記号だけが必要だったのでしょう」(週刊誌記者)
その小鳥と一緒に採用された大学生エンジニアの森本は、数多くのプログラミング言語が使えることをアピールだ。
彼の口からはCやC++、C#に加えて、PythonやRust、Go、Swift、Kotlinといった言語名がすらすらとあげられており、どうやらクライアントサイドからサーバーサイド、さらにはiOS向けの開発も手掛けていたようだ。しかもゲーム開発環境の「Unity」や3D制作プラットフォーム「Unreal Engine」に関しても触れていたようだが…。
「とりあえず言語名をたくさん並べとけ! という制作側の意図が透けて見えていましたね。そもそもエンジニアを募集するなら採用側が使用言語を指定しているはずです。それにITの世界では所属企業を越えてエンジニア同士のつながりがあり、どの会社ではどんな技術レベルが必要とされているのかが見えるもの。天才エンジニアという触れ込みの森本なら、ドリームポニーのような技術的にさほど見るべきものもないスタートアップ企業に応募するとは考えづらいところです」(IT系ライター)
果たして小鳥の銀行員経験や森本の天才エンジニアぶりが発揮される場面は出てくるのか。今後の展開に若干の不安も感じさせる第1話だったが、その途中には意外な出会いの場面も描かれていたという。
それは高校生だった佐奈が、妹を連れて図書館を訪れていたシーンだ。母子家庭で貧乏だった佐奈は塾に通うこともできず、大学受験をあきらめていた。そのなかで妹に勉強を教えながら、自分自身もお金をかけずに図書館で勉強に励んでいたのである。
「佐奈はある日、書棚の高いところにある図鑑に手を伸ばします。するとスーツ姿の男性が代わりに図鑑を取ってくれて、『どうぞ』と手渡してくれました。その男性こそ、数年後にCEOと新入社員という立場で出会った小鳥だったのではないでしょうか。実際、小鳥を最初の面接で不合格にした後も、二人は図書館で偶然に再会しています」(テレビ誌ライター)
果たして佐奈と小鳥の出会いは、ドリームポニーの今後を予期したものだったのか。親子ほども年の離れたCEOと新入社員の関係は、予測不能のケミストリーを生み出してくれるのかもしれない。