この豪勢なキャスト陣はまるで、ドラマ界の「アベンジャーズ」なのか!? そう喜んでばかりもいられないようだ。
7月5日にスタートしたドラマ「ユニコーンに乗って」（TBS系）は、若き経営者である成川佐奈（永野芽郁）が、仲間と共にスタートアップ企業の「ドリームポニー」を大きくしていくという成長物語だ。
22歳の永野が演じる佐奈は、等身大の若さが特徴。その若さを武器の一つとする一方で、経験や実力のなさを見透かされる場面もある。そしてドリームポニーはさらなる成長を目指し、即戦力となる人材を採用することに。そこで佐奈が採用を決めたのは、自分の理念に最も共感してくれた元銀行員の小鳥智志（西島秀俊）だった。
面接の際にはスーツ姿でバッチリと決めていた小鳥。出社初日もスーツ姿だったが、社員証の写真を撮影する際にはアップルの故スティーブ・ジョブズ氏を真似た黒い長袖シャツにジーンズという出で立ちとなり、ネットを沸かせていた。そんな永野や西島がそろい踏みする姿に、微妙な違和感を感じる視聴者も少なくなかったという。
「永野芽郁にとっては昨年7月期の『ハコヅメ～たたかう!交番女子～』（日本テレビ系）以来、1年ぶりとなるドラマ出演。一方で西島は3月に最終回を迎えた『真犯人フラグ』（同）以来の連ドラ出演となります。なかなかの大物ぞろいとなった本作ですが、CEOの佐奈とともにドリームポニーを立ち上げた須崎功役の杉野遥亮や栗木次朗役の前原滉も含めて、どうにも“アベンジャーズ感”が拭えないのです」（テレビ誌ライター）
「相良凌介」感にあふれる西島秀俊。そのイメージを小鳥智志に変えていきたいところだろう。トップ画像ともに©TBS
というのも永野の演じる佐奈には、「ハコヅメ」の主人公で新米警察官の川合麻依っぽさが感じられてならないという。そして西島は「真犯人フラグ」で演じていた主人公で運送会社課長の相良凌介が、そのままスーツ姿で出演しているイメージだ。
同様に杉野は、昨年10月期のドラマ「恋です！〜ヤンキー君と白杖ガール〜」（日本テレビ系）で演じた元ヤンキーの黒川森生が更生した姿に見えるというもの。そして前原は日本中に考察ブームを巻き起こしたドラマ「あなたの番です」（同）で演じたマンション管理人のイメージが抜けないのである。
「そして極めつけは、ベンチャー企業経営者から大手通信会社の社長に転身した羽田早智を演じる広末涼子でしょう。まるでラスボスがごとく君臨する広末の存在感は、本作の“アベンジャーズ感”を際立たせています。回を重ねていくことで、それぞれの役どころが視聴者の腑に落ちるようになることに期待したいものですが、下手をすればいつまで経っても『こんなに役者を揃えました！』感が拭えない恐れもありそうですね」（前出・テレビ誌ライター）
大手通信会社の社長にふさわしい存在感を発揮している羽田早智役の広末涼子。©TBS
その原因の一つは、舞台となるスタートアップ企業の「ドリームポニー」が、いまいち実在感を感じさせないからではないだろうか。オフィスの様子こそ今どきのIT企業らしいものの、なぜか深夜に共同創業者の3人だけで作業しているなど、こじんまり感も漂わせているのである。
ただドリームポニーは創業3年目ながら、ハイテクビルの2フロアを占有しているというなかなかの大手。そんな新興IT企業のイケイケドンドンぶりをもっと前面に押し出せば、妙なアベンジャーズ感も解消できるのかもしれない。
