乃木坂46・山崎怜奈に選挙特番で浴びせられた、矛盾をはらんだ言葉とは!

 まずはテレビ局のほうこそ意識改革をすべき。そんな思いを抱いた視聴者も少なくなかったのではないだろうか。

 7月10日に行われた「第26回参議院議員通常選挙」では、各テレビ局が選挙特番を放送。芸能人のゲストも数多く出演し、それぞれの立場から政治に対する想いを伝えていた。

 なかでも注目されたのは「選挙の日2022」(TBS系)に出演した、現役アイドルで乃木坂46の山崎怜奈だ。慶應義塾大学出身の彼女はアイドル界きっての才女として知られており、今回も彼女がアップになる場面では「慶応義塾大学卒業 ラジオ番組で地方自治体の首長らと積極的に対談」とのテロップが表示されていた。

「彼女は慶大の環境情報学部を2020年3月に卒業しており、TBSの野村彩也子アナとは同じ学部の同級生になります。大学卒業後には出身地の東京都江戸川区にて、区長を座長とする『えどがわ未来カンファレンス』という会議体の委員にも選出。昨年2月に『歴史のじかん』という著書を刊行した歴女でもあり、アイドル代表として選挙特番に呼ばれるのも納得でしょう」(アイドル誌ライター)

 今回の選挙特番では何度となく話を振られ、安倍元首相の銃撃事件や日本の防衛問題、核の最終処分やタレント候補についてなど、さまざまなテーマについて発言。自身が出馬するとの噂に関しては明確に否定するなど、自分の言葉でしっかりと発言していたのが印象的だった。

 防衛問題については「このままでいいのかというのは一概には言えないと思っていて、変えるならいつなのかって思った時に、各国、近隣の国々が動いている時に日本も動き出さないと」と、現在の世界情勢を踏まえて発言。続けて「何もない時に動き出すと余計に何か言われるというのがあると思うので、私は行動するなら今なんじゃないかなと思います」と、防衛力強化を肯定する発言を口にしていた。

 核の最終処分に関しては「聞いた話だと2004年からフィンランドは地下にシェルターを作って、そこに核の最終処分場として設けている」と、ちゃんと下調べしてきたであろう知識をよどみなく披露。その上で日本の現状について「参政権がしっかりと使われている国々はちゃんと対策を打とうとしているのに、このことを国民が知らないという状況が一番、問題の解決に遠ざかるということだと思う」との危機感をにじませていた。

 また日本の経済については、「給料を上げるといっても企業をどう支えていくのかも気になりますし、実際に物価は上がっていくばかりなのに社会保険料も上がっていく一方」と、個人事業主でもあるアイドルらしい視点を提示。さらに「それを何で負担しているかっていうと国債で、国債の内訳を見てみても若者にあまり関係のないところに使われていたりで、何を解決すればいいのか分からない」と、25歳の若者らしい視点からの考えを示していたのである。

2020年には江戸川区で会議体の委員に選ばれ、江戸川区長を訪問した山崎。

 このように、それぞれの問題に対してしっかりとした言葉で自分の考えを語っていた山崎。そんな彼女に対して、司会者陣はどんな言葉を投げかけていたのだろうか。

「今回の番組で気になったのは、司会の石井亮次アナが山崎を『若い女性アイドル』扱いしていた点です。もちろん若者の視点を彼女に訊ねること自体は意味のあることですが、たとえば防衛問題について訊く時には『ちょっと難しいテーマかもしれませんけど』と余計な前置きしたり、経済に関する質問では山崎の答えに対して『山崎さん、すごいっすよ。本当に』と、MCの爆笑問題・太田光と目を見合わせながら驚いていました。彼女にこういった言葉を投げかけた裏側には《20代の女性アイドルに政治が分かるはずもない》という偏見がにじみ出ていたのではないでしょうか」(前出・アイドル誌ライター)

 しかし25歳の彼女は立派な有権者であり、自らの収入で生活している自立した社会人でもある。そもそも今回の選挙では20代など若者の政治参加が大きなイッシューとして挙げられるなか、その20代を代表してゲスト出演した山崎に対して、政治的発言を巡っていちいち驚いてみせるのは明らかな自己矛盾ではないだろうか。

 そんな“大人たち”の欺瞞を浮き彫りにしたという点でも、山崎が選挙特番に生出演したことには、大きな意味があったと言えるのかもしれない。

※トップ画像は乃木坂46公式ツイッター(@nogizaka46)より。