【ちむどんどん】矢作がなぜ「三徳包丁」を?未だに続く料理へのリスペクト欠如!

 なぜそんな包丁を持ち歩いているのか。疑問に感じた視聴者も少なくなかったようだ。

 8月24日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第98回では、ヒロインの青柳暢子(黒島結菜)が、元同僚の矢作知洋(井之脇海)に自分の沖縄料理店で料理人として働くよう提案する様子が描かれた。その場面に料理に対するリスペクトの欠如が見え隠れしていたという。

 二人は東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で何年にもわたって一緒に働いてきた間柄。料理の腕前は確かだが性格に難のある矢作は、オーナーの大城房子(原田美枝子)の方針に反発して勝手に退職。しまいには店の権利書を盗み出して、それを担保に金を借りた前歴の持ち主でもある。

 しかし独立開業した店は長続きせず、借金も返せなくなることに。店はつぶれ、19歳の時に結婚した妻とも別れてしまい、いまや日雇いの仕事で食いつなぐほどに落ちぶれていた。そして今回、横浜・鶴見で無銭飲食を企てるも袋叩きに遭ってしまい、その現場を暢子に見られていたのである。

「揉み合いの最中に矢作が落とした荷物からは、1本の包丁が。食い逃げされた店のスタッフは『こいつ刃物まで持ってやがる!』と驚いていましたが、その包丁に暢子は何かを感じとっていたようです」(テレビ誌ライター)

 そんな矢作に暢子は「うちの沖縄料理のお店を手伝ってもらえませんか?」と提案。矢作は「イタリア料理の店じゃねえのかよ?」と驚くも、暢子は信頼できる料理人を雇うようにオーナーから命じられていたことを明かしていた。

 矢作は「俺はもう料理人じゃねえ。料理なんてこりごりだよ」と拒否。だが包丁を持ち歩いていたことから、料理人の仕事には未練があるようだ。この様子だと暢子の店を手伝うことになるのは確実だろう。

 だが、この「再会」の場面において、矢作が持ち歩いていた包丁を巡って疑問の声があがっているというのである。

「矢作の包丁は明らかに、和包丁の『三徳包丁』でした。日本で発明され、いまでは世界中で使われている万能包丁です。しかし彼はイタリアンのコックでしたから、マイ包丁として三徳包丁を持ち歩くのはおかしな話。本来なら洋食で主流である洋包丁の『牛刀』を持ち歩いているべきでしょう。そういったディテールの欠如は、本作が相変わらず『料理へのリスペクト』に欠けていることの表れではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)

三徳包丁に比べて尖りの鋭いところが牛刀の特徴だ。

 実際、矢作と暢子が勤めていたフォンターナでは、コックたちが洋包丁を使っていたものだ。6月13日の第46回では、暢子がマッシュルームを刻むのに小ぶりなペティナイフを使っていた。また6月20日の第51回では、魚をさばくコックが牛刀を使っていたのである。

 本作では料理の専門家が監修に入っていることもあり、厨房のシーンではイタリア料理店にふさわしい調理器具が用意されていたのだろう。しかし今回の食い逃げシーンにはさすがに専門家も関わっていなそうなもの。この場面で小道具として用意された包丁に関しては「矢作はイタリアンのコック」というディテールは考慮されていなかったようだ。

「ドラマ作りでは本来、こういった細かいところにも気を配るもの。しかし本作の制作陣が『僕たちおじさん3人は料理の知識が全くないんです』と開き直っていたことはいまや、多くの視聴者も聞き及んでいるところです。そんな開き直りが今回、三徳包丁という形で露呈したのでしょう。この調子だと暢子が開業する沖縄料理店においても、様々な形でディテールの欠如が発見されてしまいそうですね」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして矢作は暢子の店で働き始めるのか。その時は厨房に、それなりの調理器具を揃えておいていただきたいものだ。

※トップ画像は©NHK