【ちむどんどん】「姉のお古」発言に非難轟々も、ディスられていたのは歌子ではなかった!

 その言葉のチョイスには、視聴者も怒り心頭に発していたようだ。

 8月31日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第103回では、沖縄から上京してきた比嘉歌子(上白石萌歌)を巡り、沖縄県人会の会員たちから心ない言葉が発せられる場面が物議を醸した。

 幼馴染の砂川智(前田公輝)に恋心を抱いているものの、当の智にはヒロインで歌子の姉である暢子(黒島結菜)にプロポーズしては玉砕していた過去が。それでも暢子のことはすっかり吹っ切れているらしく、いまや智は歌子のことを想っている様子だ。

 暢子は東京・杉並で沖縄料理店の「ちむどんどん」を開業する間近。上京した歌子は住み込みで働くことになり、この回では歌子の歓迎会を兼ねて、暢子自慢のラフテーをみんなで試食することになった。

「妊娠中の暢子は早めに休み、店に集った沖縄県人会のメンバーたちは泡盛ですっかり出来上がっている様子。民謡歌手を目指していた歌子に一曲歌ってとリクエストすると、気を遣った暢子の夫・和彦(宮沢氷魚)は歌子に酒を買いに行かせました。その帰り、歌子は自分に向けられた言葉を聞いてしまったのです」(テレビ誌ライター)

当初はご機嫌な様子で杯を交わしていた歌子だったが…。トップ画像ともに©NHK

 店の前まで戻ってきた歌子は、店内で沖縄県人会の金城順次(志ぃさー)が「智は暢子ちゃんにフラれたから、妹の歌子ちゃんに乗り替えたワケ?」と話しているのをドア越しに聞くことに。外に歌子がいると知らない順次は「つまりは姉のお古、お下がりの智…」と言い放ち、和彦にたしなめられていたのであった。

 その言葉に呆然とする歌子。店に入るも、疲れたと言ってすぐに二階の部屋に上がっていったのも当然だろう。

 その「姉のお古」というパワーワードに視聴者からは<酷すぎる><最低!>といった批判が噴出。脚本を作った制作陣に対しても<昭和のオジサンの暴言><プライドがないのか?>といった声がブツけられ、なかには迷惑系YouTuberにたとえる指摘もあったほどだ。

 この暴言により多くの視聴者を敵に回してしまった「ちむどんどん」。ただ今回の発言をあらためて振り返ると、順次がディスっていた相手は歌子ではなかったというのである。

「この暴言で“お古”に例えられていたのは誰か。それは紛れもなく智であり、彼は未婚にもかかわらず、中古品扱いされていたのです。本作ではヒロインの暢子も大野愛(飯豊まりえ)の“お古”である和彦と結婚していますが、こちらに関しては誰も《暢子が愛のお古をもらった》とは言わず、二人の結婚を祝福していました。それは和彦が東洋新聞社の記者で裕福な家の一人息子という“優良物件”だったことも理由の一つでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 そんな和彦に対して、智はすぐカッとなる短気な性格で、食品卸会社の社長と言えども零細企業に過ぎないのが現実。実家はその日の食べ物にさえ窮していた貧乏な家庭であり、和彦との差は残酷なほどだ。

 しかし沖縄県人会は、本土で差別されがちな沖縄出身者同士が結束を固めることで、力強く生き抜いていくことを目的にしているはず。その会員同士がお互いをディスるような脚本など、沖縄にゆかりのある人ならずとも許しがたいところだろう。今回のセリフや脚本を書いた制作陣には猛省が求められるのではないだろうか。