これにはサッカーファンも驚いていたことだろう。
日曜劇場「オールドルーキー」(TBS系)の最終話が9月4日に放送され、シリーズ最高となる世帯平均視聴率11.6%で有終の美を飾った。そのラストシーンに多くの視聴者が驚いていたという。
主人公の新町亮太郎(綾野剛)は、3カ月間勤めていたスポーツマネジメント会社のビクトリーからクビになるも、FC東京に所属する伊垣尚人(神尾楓珠)の代理人となり、ドイツリーグ1部チームへの移籍交渉に成功。日本代表戦でプレーし、結果を残した伊垣と抱き合って喜ぶ亮太郎のもとにビクトリー社長の高柳雅史(反町隆史)が歩み寄り、「大事な話がある。ついてきてくれ」と告げたのだった。
「高柳は亮太郎を、東京・国立競技場に呼び寄せました。ただ日本代表戦は茨城・カシマサッカースタジアムで開催されており、両球場は最短でも107キロ、車で1時間半の距離です。そんな遠くまで亮太郎を呼び寄せたのは、ビクトリーの仲間たちとサプライズの出会いを演出するためでしたが、視聴者からは《なぜ国立?》《試合後のカシマだと思っていた》などと疑問の声が続出していました」(スポーツライター)
それでもラストシーンの場所が国立競技場だと分かると、サッカーファンの視聴者はビックリ。しかもこのシーンが実際に同所でロケされていたと放送当日の朝に報道されていたこともあり、<国立競技場まで使っていたのか><贅沢すぎる!>といった驚きの声が続出していたようだ。
事情を知らない視聴者からは、国立競技場がCGで描かれたものだと怪しむ声も。だがドラマの公式ツイッターでは国立競技場のピッチに立つ出演者たちの記念写真を掲載しており、実際に同所でロケしたのは明らかだ。本作ではJリーグや各チームの協力を得ており、サッカーの競技シーンには元日本代表FWの大久保嘉人が全面協力。ファンも納得の仕上がりになっていたことは間違いないだろう。
だが何事も、完璧を期すのは難しいところ。この最終回でも一カ所、サッカーファンが<さすがにそれはない>と指摘するミスが見え隠れしていたという。
「それは伊垣のプレーを観るために来日したドイツリーグ1部ラインハルトのオリバー・シュナイダーGMに関する描写です。すでにラインハルトでプレーしている矢崎十志也(横浜流星)は、旧知の亮太郎にシュナイダーGMの経歴を見せました。そこに明らかなミスがあったのです」(前出・スポーツライター)
矢崎が見せたのはチームの公式サイトで、そこにはドイツ語で「15歳にしてラインハルトの戦力に。クラブのレジェンドとみなされている」と、シュナイダーGMの経歴を紹介。出身地はベルリンで、生年月日(Geburtsdatum)は1996年6月25日だと書かれていた。つまり現在はまだ26歳という計算になる。
しかし、いくらなんでもドイツリーグに26歳という超若手のGMなどいるはずもない。見た目も選手引退からかなりの年数が経った雰囲気なうえ、高柳が「以前からの友人」と話していたのもシュナイダーGMがベテランである傍証だろう。
「なかには1996年というのは生年月日ではなく、チーム歴ではとの指摘もあるようです。しかしドイツリーグ所属チームの公式サイトでも『Geburtsdatum』はあくまで生年月日の意味で使われており、チーム歴は『Beim チーム名 seit』(英語だとAt チーム名 Since)と表記されています。それゆえこのシーンは、制作側の凡ミスだったのではないでしょうか」(前出・スポーツライター)
逆に言えば、そんな凡ミスが目立ってしまうほどに「オールドルーキー」のサッカー関連シーンは、巧みに演出されていたと言えそうだ。ラストシーンでビクトリーへの復帰を打診され、亮太郎が男泣きするシーンにはつられ泣きしたという視聴者も続出。国立競技場での大掛かりなロケをもって、本作は有終の美を飾ることができたようだ。