どうやら演者のほうもこの脚本には疑問を抱いていたようだ。
9月9日放送の情報番組「あさイチ」(NHK)には、NHK連続テレビ小説「ちむどんどん」で主役の青柳暢子を演じる黒島結菜が生出演。途中からは夫・和彦役の宮沢氷魚も参加し、ここまでの放送について振り返った。そのなかで宮沢の口から、脚本批判にも受け取れる言葉が語られたという。
番組では、とくに演じるのが難しかったという「恋愛編」が話題に。暢子、和彦、大野愛(飯豊まりえ)、砂川智(前田公輝)の4人で海に遊びに行ったシーンなどを振り返り、黒島は「恋愛編は難しかったんですよね」との感想を口にしていた。
ここでMCの博多華丸は宮沢に「ご自身の恋愛と和彦とだいぶ違いますか?」と質問。すると宮沢は「愛さんには本当に申し訳ないことを」と、自身の演じた和彦のふるまいについて謝罪したのだった。
「和彦は同僚の愛と長年の恋人関係で、愛の両親とも食事するなど結婚話も進展。結婚式場まで決めていたのですが、幼馴染の暢子に気持ちが移ってしまい、酷い棄て方をしでかしていました。これは当時、視聴者から猛批判を浴びていたものです」(テレビ誌ライター)
和彦は愛と別れてからわずか1週間で、暢子と結婚の約束を交わすことに。その点について宮沢は、とくに問われてもいないのに「愛さんとお別れしてからだいぶ早かったなと思うんですけども」と自らその話題に触れていた。和彦の気持ちを「その勢いというか気持ちには逆らえなかった」と代弁してはいたものの、心変わりの早さが異様だと指摘したも同然だったのではないだろうか。
その流れでMCの博多大吉は、和彦が愛との恋人関係にピリオドを打つ際に発した「すべてなかったことにしてくれ」というセリフについて言及。こういうストーリーだからしょうがないと前置きしつつ、視聴者のあいだで物議を醸した言葉についてズバリ切り込んだのである。
「すると宮沢は『あのひと言、酷いですよね!』と苦笑い。大吉が『和彦の株、大暴落した』と茶化すと、『本当に、本当に申し訳ないです』と頭を下げていました。どうやら宮沢自身も、和彦の酷すぎる振る舞いには疑問を感じていた様子。にこやかには語っていたものの、脚本をチクリと批判していたようにも見えました」(前出・テレビ誌ライター)
この場面では黒島も手で口を押さえながら大笑い。番組の序盤では感情をあまり表に出すほうではないと認めていたが、ここぞとばかり爆笑していたのは、宮沢と同様に脚本に対して疑問を抱いていたことの表れなのかもしれない。
こういった宮沢や黒島の振る舞いは、今後の役者人生にとってプラスになるのではないか。そう感じた視聴者も少なくなかったようだ。
「この『ちむどんどん』ではまったく感情移入できないキャラ設定が災いし、演じている黒島や宮沢にキャラを重ねてしまい、ネガティブな印象を持つ人も少なくありません。それが今回の『あさイチ』では、演者自身も自分の演じるキャラに疑問を抱いていたことが判明。その様子に『演者は演者、キャラはキャラ』と認識をあらためた視聴者も多かったのではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
暢子を演じたことでアンチが増え、今後の役者人生に暗雲が垂れ込めていると報じられることも多い黒島。だが今回の「あさイチ」で見せた姿を見る限り、そんな心配は杞憂に終わるのかもしれない。