【ちむどんどん】またもやイタリアの食文化を冒とく!白ワインの名産地になぜ赤ワインが?

 本作の制作陣に「考察」という概念を期待するのは、どうやら間違っているのかもしれない。

 9月13日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第112回では、東京・杉並のスナックで働くリリィこと猪野清恵(佐津川愛美)が、東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」を訪れるシーンが描かれた。そこでまたもや、イタリアの食文化に関する無理解が露見していたという。

 千葉・猪野養豚場の一人娘である清恵は、一緒に働く沖縄出身の比嘉賢秀(竜星涼)にいつしか心を惹かれていた。しかし結婚歴や水商売で働いていた過去を隠しており、それが賢秀にバレたことで二人の仲は険悪に。清恵は家を出て水商売に逆戻りしていたのだった。

 ある日偶然、賢秀の妹・青柳暢子(黒島結菜)が経営する沖縄料理店を訪れ、暢子が皮付きの豚肉を求めていることを知った清恵。だが店の前で賢秀に出会ってしまい、暢子に直接伝えることができなくなってしまった。そこで彼女は、かつて賢秀と二人で食事をしたフォンターナを訪れ、オーナーに伝言を頼んだのである。

 オーナーの大城房子(原田美枝子)は直前に暢子から電話をもらっており、訪ねてきた女性が清恵だとすぐ気づくことに。帰ろうとする清恵を「伝言を頼まれる代わりに少し付き合いなさい」と引き留め、清恵の身の上話を聞きだしたのだった。そんな場面を巡って、がっかりする視聴者もいたというのである。

「房子は『ワインはお好きかしら?』と訊ね、二人でワインを飲みながら話をすることに。その場面に問題があったのです。房子が空けたワインの瓶には『POMINO』という銘柄が読み取れました。イタリア・トスカーナ州のポミーノは白ワインの名産地として知られ、数百年にわたって世界中のワイン好きを魅了してきたブランドの故郷。当然、二人が飲んでいるのも白ワインかとおもいきや、まさかの赤ワインを飲んでいたのだから驚きです」(フードライター)

 ポミーノには「POMINO ROSSO」という赤ワインもあるが、その生産が始まったのは1983年のこと。本作の時代設定は昭和54年(1979年)であり、作中当時にはポミーノの赤ワインなど世の中に存在しなかったのである。

ワインを飲むシーンでは必ず赤をチョイス。「見た目がワインらしいから」という撮影上の都合であればまさに本末転倒だ。トップ画像ともに©NHK

 本作では銀座のイタリア料理店が舞台の一つにも関わらず、当時はまだ存在していなかった生魚のカルパッチョが提供されるといったおかしな描写があり、イタリアの食文化を冒とくしていると糾弾されていたもの。

 ワインに関しても7月12日放送の第67回では、ヒロインの暢子とオーナーの房子が杯を重ねる場面にて同様の間違いを露呈。スパークリングワインで知られる「Franciacorta」の瓶を開けているにも関わらず、なぜか赤ワインを飲んでいるという謎の描写が見られたものだ。

「ワインに関して間違った描写を重ねる責任はひとえに、『僕たちおじさん3人は料理の知識が全くないんです』と開き直る制作陣にあることは明らか。もはや料理やワインに関して“考証”する気もないのでしょう。もしかしたらオーナー室でワインを飲む場面はまとめて撮影されており、第67回で暢子が飲んでいたのと、今回清恵が飲んでいたのは同じ赤ワインという可能性もあります。そう思わせるくらい、やっつけ仕事にしか見えないのです」(前出・フードライター)

 そもそも今回のエピソードで重要なアイテムである「皮付きの豚肉」にしても、中華料理店では何十年も前から食材として使われており、東京の肉流通で見つからないことなどありえない。しかも都内でいくら探しても見つからない食材なのであれば、誰からも求められていないことになるので、杉並の肉屋で取り扱うこと自体がおかしな話だ。

 そういった矛盾点を、物語の都合だけで平気で描いてしまう「ちむどんどん」。ドラマにリアリティは必要ないとの意見もあれど、度重なる「考証無視」には視聴者のほうもすっかり呆れかえっていることだろう。