【ちむどんどん】「知らない客で満席」を達成も、経営が行き詰まる条件も揃うことに!?

 まるで最終回のようなエンディングだったが、ここからさらに一波乱がありそうだ。

 9月15日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第114回では、ヒロインの青柳暢子(黒島結菜)が開業した沖縄料理店が満員の客でにぎわう様子が描かれた。

 7年間勤めていたイタリア料理店の「アッラ・フォンターナ」から独立し、東京・杉並に自分の店「ちむどんどん」をオープンした暢子。当初は閑古鳥が鳴き、一時休業を余儀なくされたものの、良質な皮付き豚肉が入手できたことやメニューの表記を一新したことなどが功を奏し、客足が増えることに。

 12月1日の新装開店からひと月が過ぎようとしていたころにはリピーター客もつきはじめ、店先で順番待ちする客も出るほどの人気を呼んでいた。

 独立の際に暢子は、フォンターナの大城房子オーナー(原田美枝子)から、「知らないお客様だけでお店が満席になったら私はあなたの店に行く」との約束を取り付けていた(※第94回)。その目標が達成できたことにより、房子が暢子の店を訪れることにもなりそうだ。

 このように順風満帆な様子の「ちむどんどん」では、ナレーションを務めるジョン・カビラが客の役でカメオ出演を果たすなど、まるで最終回さながらの雰囲気を醸し出していた。しかし放送はあと11回残っており、まだ一波乱ありそうな様子。暢子の出産という大イベントも残っており、どうやら「ちむどんどん」の経営にまたもや黄信号が灯りそうな気配を感じさせたというのである。

「満席の店内に危惧した視聴者もいたことでしょう。というのも暢子の店は、その規模に比して従業員が少なすぎるからです。全28席を擁する『ちむどんどん』の規模ならホール担当が二人は欲しいところですが、実際には暢子の妹・比嘉歌子(上白石萌歌)が一人で担当。身重の暢子は戦力として半人前ですし、誰も食器を洗っている様子がありません。これで満席の繁盛が続けば、誰かがツブれてしまうことは確実です」(フードライター)

繁盛ぶりに顔をほころばせる矢作、暢子、歌子。しかしここからが地獄の日々となるはずだ。トップ画像ともに©NHK

 飲食店に必要な人数は業態によって変わってくるものの、テーブル席がメインの「ちむどんどん」ではホール専任のスタッフが不可欠。メニューは沖縄そばとチャンプルー系の定食がメインで、麺類と炒め物を同時に提供する必要がある。

 また一品メニューも用意されており、入口の上に貼られたメニューにはスヌイ(もずく)、島らっきょう、スクガラス(アイゴ稚魚の塩辛)、サーターアンダギーといったおなじみの沖縄料理が読み取れた。これらの料理すべてを料理人の矢作(井之脇海)と店主・暢子の二人だけで賄っているのである。

「もはや暢子、歌子、矢作の誰か一人が欠けただけでも立ち行かなくなるのは明らか。たまには暢子の夫・和彦(宮沢氷魚)がヘルプに入るものの、せいぜい水出しと後片付けくらいしかできないでしょう。しかも暢子はやがて産休に入るのですから、少なくても暢子並みに働けるスタッフを急きょ、補充する必要があります」(前出・フードライター)

 他店から応援を呼べるチェーン店ならいざ知らず、個人経営の「ちむどんどん」でスタッフ不足は死活問題だ。そもそもこの店舗を借りた時点でフォンターナの二ツ橋シェフ(髙嶋政伸)からは、最低4人は必要だと指摘されていたもの。それを3人で回している現在は、いくら営業時間が1日6時間だけとはいえ、相当にてんてこ舞いなのは明らかだ。

 いくら制作陣が「料理を知らないおじさん」と開き直っているとはいえ、繁盛している様子を描けば、スタッフ不足にはすぐ気づきそうなもの。果たして暢子の産休時期をどうやって切り抜けるのか。少なくとも暢子の親友である早苗(高田夏帆)は今すぐにでも呼んできたいところだろう。