【舞いあがれ!】舞への当たりが強い冬子、その理由は「オタサーの姫」で居続けるため!?

 新入生にその態度はないのでは? 視聴者もそう面食らったことだろう。

 10月24日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第16回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が人力飛行機サークルに足を運ぶやいなや、先輩の女性部員から大目玉を食らう場面が描かれた。その先輩に対し、やり過ぎとの声が続出しているという。

 飛行機を作りたいとの大志を抱き、航空工学を学ぶため浪花大学に入学した舞。新入生の勧誘に励む人力飛行機サークル「なにわバードマン」の部員からチラシをもらい、さっそく部室を訪れていた。

 そこに置かれていたのは制作中の主翼。流麗な形のリブが並ぶさまは美しく、その翼(よく)の形に舞は魅いられていた。そしてリブに手を触れようとした瞬間、背後から「触ったらあかん!」の大声が。その声に思わず振りむくと背負っていたリュックが翼にぶつかってしまい、リブの1枚を破損してしまったのである。

「舞をどやしつけたのは2回生で女性パイロットの由良冬子(吉谷彩子)。破損したリブを見て『ちょっとあんた、何すんねん!』と激怒したうえに、舞に対して『これ作んのにみんなが春休みかけたんやで。どないしてくれんの』と畳みかけました。その態度に多くの視聴者は《あんたがデカい声を出さなければアクシデントは起こらなかった》と、冬子の態度に呆れていたはず。こういう先輩、社会人にもよくいるものだと思ったことでしょう」(テレビ誌ライター)

 やたらと攻撃的な態度の冬子だが、それは翌日も同じことだった。部室を再訪した舞が翼を修理したいと申し出るも、冬子は「そない簡単なもんちゃうねん。帰り」と拒絶。どこのサークルでも新入生は喉から手が出るほど欲しいはずなのに、冬子は部長など先輩部員の意見も聞くことなく、舞を勝手に追い出そうとしていたのだ。

 その態度には多くの視聴者が理不尽さを感じたことだろう。実際、舞と冬子の様子を見ていた3回生の鶴田(足立英)はすかさず舞を勧誘。男子の新入生二人と共に、さっそくサークルの部員たちを紹介してまわっていたのである。

人力飛行機の翼に魅いられていた舞。その姿が冬子にとっては脅威だったのかもしれない。トップ画像ともに©NHK

 それにしてもなぜ、冬子は頭ごなしに舞を拒絶していたのか。それは決して、舞が不注意でリブを壊したことだけが理由ではないかもしれないというのだ。

 一つには、2回生になってゲットした「パイロット」の立場を脅かす存在への反発が考えられる。人力飛行機のパイロットは体重が軽ければ軽いほど有利であり、小柄な女性は有力候補。先輩の鶴田から代替わりでパイロットとなった冬子は、自転車のロードワークやエアロバイクで日夜、脚力を鍛えている。

「それに加えて冬子は自分が《なにわバードマンの紅一点》でなくなることへの危機感を抱いた可能性もあります。見た感じ、なにわバードマンの女性部員は冬子一人だけ。しかも人力飛行機サークルに興味を抱く女子は少ないでしょうから、彼女はこれまで紅一点として他の男性部員たちから下にも置かぬ扱いを受けてきたことでしょう。その状況はいわゆる『オタサーの姫』そのもの。それまで自分が絶対的なお姫様だったのが、まさか2回生に上がった途端、舞のような美人の新入生が入ってきたら、警戒心を持つのも無理はないのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)

 もちろん、冬子が「オタサーの姫」という自覚を持っているとは限らないし、不注意から大事な翼を壊してしまうような新入生などお断りということなのかもしれない。だとしても、鶴田が新入生たちを部室の奥に招き入れた際に冬子は、目もくれずに出て行った。他の部員たちが「よろしくー!」と歓迎ムードにも関わらずだ。

 果たして飛行機を作りたいという舞の夢は、冬子に邪魔されることなく前に進むのか。それとも冬子は舞を、可愛い後輩として受け入れるのか。オタサーの姫と、その座を脅かす新たな姫の登場は、なにわバードマンに乱気流を巻き起こしてしまうのかもしれない。