多方面で活躍中の様々なクリエイターとともに、新しいIPを創出していくプロジェクト「1 PICTURE 1 STORY」。10月14日にはその第4弾となるインスパイアソングの「アンリアルサイド (feat.すこっぷ / 佐藤ノア)」が、同プロジェクトの公式YouTubeにて公開された。
第4弾ではイラストをからんころん、ストーリーをモモコグミカンパニー(BiSH)、楽曲制作をすこっぷ、そしてシンガーを佐藤ノアが担当。シンガー担当の佐藤は女性ファッション誌「bis」のレギュラーモデルにして、ソロアーティストとしても活動している。
今回、asageiMUSEでは、佐藤に「1 PICTURE 1 STORY」に関するインタビューを実施。前編では同プロジェクトへの取り組みに加え、自身のアーティスト活動やモデル活動などについても話を聞いた。
【佐藤ノア】
1997年7月9日、北海道札幌市生まれ。
2016年に上京、ガールズバンド「suga/es」を結成し、ボーカルを務める。2017年、「bis」のレギュラーモデルに就任。音楽活動はもちろんのこと、アイテムにも自分の表現を取り入れ、アクセサリーブランド「Mel cinna」、香りのブランド「Shefar」、カラーコンタクトブランド「ramurie」で商品作りに一から携わり、コンセプト制作なども行なっている。meiji meチョコのアンバサダーとしても活動中。
ツイッター @sugales_noah/インスタグラム @sugar_79
――今回、「1 PICTURE 1 STORY」のオファーが来た時の第一印象を教えてください。
佐藤 最初は「bis」だからやろうみたいな。最近、コラボでラップを書かせていただいたんですが、その時に「人とコラボするって新しいな」と感じたんです。自分ひとりでやっている制作とは全然違うから面白いなと思って。今回も楽曲を提供していただくということで、ほかの人の作品も演ってみたいなっていう感じで。自分の間口をもっと広げられればという気持ちでやりました。
――アーティスト「佐藤ノア」とはずいぶん雰囲気が違っています。
佐藤 普段の私は「キラキラJ-POP」っていうテーマがあって、それに則っていろんな曲をやらせてもらっています。音がキラキラしていて、上物がいっぱい鳴っている、みたいな感じのJ-POPです。
――「bis」では2017年の復刊当時からレギュラーモデルを務めています。
佐藤 有難いことにだいぶ長く出させていただいています。編集長が代わっても有難いことに変わらず出させていただいていてその変わらない環境の中で、今回の「1 PICTURE 1 STORY」では変わったことができるのが特別だなと思って。これまでやったことがないからこそ、やってみたいなと思いました。
――その「1 PICTURE 1 STORY」で歌われている楽曲「アンリアルサイド」の印象を教えてください。
佐藤 今まで人生で一度も思ったこともないような言葉が歌詞に入っています。たとえば「どうして僕に話しかけたんですか?」っていうフレーズも、そんなこと本当に一度も思ったことがなくて。初めて歌詞を読んだ時には「私、すごく遠いところにいるな」って思ったんです。だから歌う時には主人公の気持ちになって、入り込んでっていう感じですね。演技のお仕事に近い気持ちで歌えました。
――演技のお仕事は経験ありますか。
佐藤 ないです。だからより一層、気持ちを入れなきゃと思って、めっちゃ真っ暗なところで録ってました。スタジオで「電気消してください」ってお願いして。まあレコーディングの時はいつも暗くしているんですけどね(笑)。
――楽曲の原案となっている「インターネットダイビング」はネットと現実のクロスオーバーが描かれています。ノアさんもSNSで活発に発信されていますよね。
佐藤 私の場合、SNSは現実の延長線上って感じで、とくに切り離して考えたことはなかったです。SNSはみんなが見せたい自分を見せる場所だと思っています。
――ノアさんにとって見せたい自分は?
佐藤 (自分を指さして)あ、これです(笑)。いろんな要素を持ち合わせているなかで、その場所に合わせて自分を出しているって感じ。全部、私が持ち合わせている要素だから、なにか特別に作ったりとかはないですね。
――以前はSNSで「私はこういう人」と強く出していましたが、最近はそうでもないように感じます。
佐藤 もう、みんな知っているからいいやって思って(笑)。佐藤ノアってこんな感じだよね、気強いよねみたいに言われるし、みんな分かってくれているから、あまり言う必要がなくなってきたかなと思って。わざわざ自分で言うこともないなって感じです。
――これまでの音楽作品ではMVにもノアさんらしさが詰まっています。
佐藤 最新曲の「LADYBUG」(7月23日配信開始)は、歌詞は自分で書いて、MVは全部丸投げで作ってもらいました。それまでの作品、たとえば「ONE ROOM LOVE」(2021年1月)では私がMVのイメージを考えて、撮影スタジオには自分の私物も置いたりしています。ほかには「こういうMVが撮りたい」みたいなイメージをカメラマンさんに伝えて、撮ってもらったりとかもしました。
――そういった着想はどこから得ているんですか。
佐藤 私、「Pinterest」(画像SNSアプリ)をめっちゃ使ってるんですよ。いろんな画像が見られるので、それを見てイメージを膨らませています。あとは一日の中で映画や音楽に接している時間がすごく多くて、他のアーティストさんのMVとか、昔のものもめっちゃ見たりとか、いろんなところからインプットしていますね。
――今回の「1 PICTURE 1 STORY」のように、ほかの人から曲を提供されることに関してはいかがですか。
佐藤 自分の曲じゃないと歌わない、みたいな気持ちは全然ないんですよ。むしろ「いろいろやってみたーい!」といった感じなので。興味がいろんなところにあるんです。
――今回のプロジェクトを見て「佐藤ノアってこういう曲も歌うんだ」と思った人が、新し
いオファーをしてくるかもしれませんね。
佐藤 そうなったらぜひ乗っていきたいです。オファー、お待ちしています。
――今回はアーティストとしての参加になりますが、ノアさんにとってメインの活動はモデルですか。
佐藤 モデルなのかって言われると、まあ雑誌にレギュラーで出させていただいているしアパレルのブランドのお仕事も多いし、まぁモデルかなぁみたいな感じですかね(笑)。背も低いですし(※151センチ)、自分のこと「モデルです」って言ったことはないんです。でも肩書きが決まっていたほうがみなさん分かりやすいと思うので、どうぞ好きに呼んでくださいという感じ。自分的にはモデルとかアーティストといった肩書きにこだわったことはないです。
――アーティスト活動では恋愛系の楽曲も多いですが、恋愛観について教えてもらえますか。
佐藤 私が書く曲ってバンド(suga/es)の時もそうだったんですけど、いかにも恋愛っぽい恋愛ではない曲がすごく多くて。音楽でもなんでも、何かに対して思っていることを「君」って変えたら、全部恋愛ソングになるから、恋愛っぽくない曲が多いかもしれないです。恋愛観…普通に恋愛体質じゃないんで、エッセンス。恋はエッセンスです。
――ご自身の活動でモデルやアーティストのバランスはどうされていますか。
佐藤 それけっこう訊かれるんですけど、その時に受けているお仕事がすべてだと思っていて、バランスとか一度も考えたことがないです。たとえば広告のお仕事が多い時だったらスケジュールがそっちに取られますし。自分にできることをできるだけやっているという感じですね。
――すごく柔軟に対応されているんですね。
佐藤 私、皆さんに思われているよりはそんなに気が強くないんですよ。SNSではけっこういろいろ書いてるし嫌なことを嫌だって言ってるから気が強いと思われがちなんですけど、直接しゃべったら朗らかだって言われます(笑)。誰とでも仲良くなれますし、お仕事にも柔軟に対応できたらいいなという気持ちではいます。
佐藤 「女の子のロールモデル」になりたいですね。ファンの子が佐藤ノアちゃんっぽくなりたいって思った時に、「厚底履いていてツインテールのやつね」みたいなそういう分かりやすい感じでいたいなと思っていて。だから真似してもらいやすいように、髪の毛の長さは昔からずっと変えてないんですよ。服も基本的にはいま買える服しか着ない。今季の服だけ。みんなが真似できるように、ある程度はプライスとかも考えながら服を選んでいます。たまにはいいお洋服もTPOに合わせて買う時もありますけど、ちゃんと真似できる人でいないと意味がないから。
――服の値段まで徹底されているんですね!
佐藤 季節的にもちょっと先のものを着ています。9月に入ったらもう絶対サンダル履かない。もうブーツしか履かないっていう感じ。だからサンダルは全部、実家に送っちゃいました。
――いま着てらっしゃる服も、がっつり秋冬物ですね。
佐藤 私服はもっとですよ。ニットですから。ひとつ先の季節の服を着るように気を付けてます。普通に暑いですけどね(笑)
――するとハイファッションも身につけない?
佐藤 バッグや靴はちゃんとした物を持ったほうがいいと思うので、ハイファッションブランドも持ったりしています。それも、みんながお金貯めて買えるようなモチベーションになるものを選んでいて、具体的なブランドで言うと「miu miu」のバッグが好きです。ファンの子が「お仕事頑張って買ったよ!」みたいに言ってくれることも多くてなんだか嬉しいですよね。
――たしかに「miu miu」だったら若い子でも少し背伸びすれば買えます。
佐藤 そうですね。バッグって財産として残るものですし、靴はいろんなとこに連れてってくれるものだから、良い物を買えばちゃんとして見えるよ、みたいな感じでいたい。ほかのアイテムは全然ハイファッションブランドではないものの方が多いですね。
――ノアさんに憧れる女子には参考になる話ですね。ファンにはどんな人がいますか。
佐藤 女子高生や女子大生が多いです、ファンは女の子しかいなくて、男性はイベントにも5人ぐらいしか来ないですね。男性にも知られているかもしれないですけど、多分推されてない。私自身、女の子にフィックスしてるんで、男性は「私のこと好きだったら来れば?」みたいな感じです。でも全然嬉しいので老若男女関係なくみんな会いにきてくれたら嬉しいですね。
――最後にファンの方にアドバイスをお願いします。
佐藤 アドバイス? そんな大層な位置でもないんですけど…。アドバイスできるほどじゃないですけど、みんな好きなことをして生きていてください。
――ファンには女子大生も多いと思うので、就職活動中の学生にもアドバイスをお願いします。
佐藤 就活! 大丈夫です、強い心を持てば。強い心を持てるだけの技術面やコミュニケーション面での練習量が結果、モノをいうと思います。頑張ってください!
(取材協力:石井葵、葛馬祐希、Issey Nakanishi/撮影:吉田耕一郎)