どうせなら作中の日程をロケに合わせればよかったのに…。そんな声も聞こえているようだ。
11月28日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第41回では、いよいよ北海道・帯広でのフライト課程がスタート。ヒロインの岩倉舞(福原遥)が人生初の北海道生活を始めることとなった。その描写に何カ所か、道産子から疑問の声があがっているという。
物語の冒頭では帯広空港の空撮からスタート。舞が通う航空学校は実在する航空大学校をモデルとしており、航空大学校の帯広キャンパスは帯広空港に隣接して設置されている。そのシーンでいきなり道産子からのダメ出しが出ていたというのだ。
「なにしろ4月の十勝平野にもかかわらず、雪が一切映っていないんですからね。2007年4月の気象データを確認すると、4月1~3日に降雪があったほか、14日には20センチもの降雪が。帯広市街地ならともかく、空港周辺なら農地や森に雪が残っているはずです。物語の設定が4月であることは最初から分かっていたはずなので、その時期に空撮しておいてほしかった。今回の空撮画像はロケが行われた8月に撮影されたものだったのでしょう」(道産子ライター)
格納庫で教官たちに出会うシーンでは、屋根の影を見ても太陽が高い位置にあることが分かり、これも4月らしくない光景だ。それはロケの時期から仕方がないこととは言え、せめて屋外にいる学生たちには少しは寒そうなそぶりを見せてほしかったところだろう。
なにしろ2007年4月の帯広では最低気温が5度を上回った日が1日もなく、氷点下の日が13日もあったほど。そういった寒さを見せることで、北海道が舞台になっていることを視聴者にも実感させられたのではないだろうか。
その一方で、北海道の事情をちゃんと調べてきたことをうかがわせる描写もあったという。それは舞たちが住んでいる寮の部屋だ。番組後半では舞と矢野倫子(山崎紘菜)が同居する部屋が舞台に。この時、窓には屋外のライトが透けて見えていた。しかし舞の机に置かれた時計は午後9時40分ごろを指しており、普通なら雨戸を閉めているはずの時間ではないだろうか。
「この描写は道産子から見ると大正解です。というのも北海道の家屋にはそもそも雨戸というものがなく、窓は基本的に二重窓。屋外側に透明なガラス、屋内側にすりガラスを配置することで、外から丸見えになるのを避けています。序盤で舞が自分の机にいる場面では、窓がちゃんとすりガラスになっているのが分かりました。ここはきっちりと現地で建物の様子を調査してきたんでしょうね」(前出・道産子ライター)
北海道の家屋に雨戸がないのは、ひとつには雨戸が凍り付いて開閉できなくなるのを防ぐため。もう一つの理由は二重窓とカーテンのおかげで雨戸がなくても目隠しができるからだ。
同様に気候的な理由から、北海道ではエアコンのない家屋は珍しくない。夏場でもさほど湿度が上がらず、冷房の必要に乏しいからだ。舞の部屋でもそんな土地柄を反映して、室内にエアコンは設置されていなかった。
ただストーブやヒーターも見当たらないのは少々疑問なところ。食堂には窓のそばにオイルヒーター(もしくは温水式ヒーター)が設置されていたが、居室に設置しないのは撮影上の都合なのか。ともあれ、北海道の建物が本州以南とはずいぶん異なっていることは、しっかりと再現できていたようだ。