女子大生が見た「THE W」決勝!女芸人12組はSNSでどんな評判だったのか

 12月10日に生放送されたお笑い賞レース「女芸人No.1決定戦 THE W 2022」(日本テレビ系)にて、昨年準優勝の「天才ピアニスト」が優勝し、雪辱を果たした。

 第6回目となる今回は、決勝戦の参加者がこれまでの10人から12人に増加。最終決戦と合わせて延べ15本のネタが披露された。その「THE W 2022」について本稿ではSNSでの反応を紹介しつつ、女子大生ライター目線でのレポートをお届けしたい。

 審査員には野田クリスタル、友近、哲夫、田中卓志、川島明、塚地武雅が名を連ねた。お笑い業界は男性社会とはいえ、女芸人のNo.1を決める大会とあってSNSでは<女性の審査員が増えてほしい>との声も見受けられた。

 一方で「THE W」は漫才やコント、ピンネタと形式を問わないバトルであり、しかもノックアウト方式という他の賞レースではあまり例を見ない方式での審査となるため、審査員の責任も重かったことだろう。

【決勝戦 Aブロック】
TEAM BANANA/ヨネダ2000/さとなかほがらか/Aマッソ

 1組目は“乱れ斬りガールズ漫才”こと「TEAM BANANA」。高校生からの仲良しコンビで、2006年M-1甲子園で優勝の実績を持つ。2人の可愛らしい見た目と、女性版のあるあるネタや日常の毒舌ネタで人気だ。今回は正統派しゃべくり漫才を披露し、SNSでは<面白い笑めっちゃガチガチの漫才><巨人師匠で笑った>などネタが高い評価を受けていた。

 ネタ披露後にMCの後藤輝基が感想を尋ねると、ボケの山田愛実は「緊張しましたけど、トップバッター2回目なのでへっちゃらでした!」と、昨年もトップバッターだったことに言及。トップバッターという難しい出番ながら、最後まで「TEAM BANANA」が面白かったと印象に残る漫才を見せてくれた。キャリアの長いなか、ストイックにネタを作り続けており、今後の活躍も期待できそうだ。

 Aブロック2組目の“Z世代のメルヘン異端児”こと「ヨネダ2000」は、昨年度のTHE Wや今年度のABCお笑いグランプリ、そしてM-1グランプリの決勝にも進出している大注目のコンビ。M-1グランプリでは、ハリセンボン以来、女性コンビのファイナリストは13年ぶりとなる。

 まだ芸歴5年目のフレッシュなコンビで、テンポの良さやインパクトあるキャラクターでバラエティでも引っ張りだこ。1本目ではうんこのコントを披露し、序盤から大きなウケを取っていた。M-1ファイナリストとして注目されるなか、あえてコントで勝負したのだろうか。

 SNSでは<攻めてて好きw><アホみたいに笑った>と好反響。放送は夕飯時で、うんこのネタを持ってくるのは攻めたチョイスだったが、MCの後藤が感想を尋ねるとボケ担当の愛が「良いのが出たんではないでしょうか」と、最後まできっちり笑いを取ってみせた。ちなみに最終決戦もモヒカンのキャラコントで、なんだか笑ってしまう設定と動き、顔の表現でお茶の間を盛り上げたことだろう。この「THE W」では準優勝に終わったが、M-1グランプリにさらに期待が高まったのではないだろうか。

 Aブロック3組目、“ほのぼの暴走ガール”こと「さとなかほがらか」は浅井企画のピン芸人。初出場にして決勝戦進出となった。コールセンターの保留音という日常の共感できる部分に笑いを見出し、独特のリズムや小ボケが癖になる1人コントで勝負だ。

 SNSでは<楽しすぎw><狂気感じて好きだった>など、ネタへの親近感や共感が高い評価を受けていたようだ。また<顔立ちもネタもバカリズムみたい>などと、中毒性のあるネタと風貌でも世間にインパクトを与えることができていた。

 4組目の“雪辱のエース”こと「Aマッソ」は、「THE W」で3年連続3度目の決勝進出、昨年度はまさかの準優勝に終わり、今回は決勝戦の放送開始前からツイッターに「Aマッソ」がトレンドにあがってくるなど優勝候補として注目を集めていた。

 ツッコミの加納は初の小説集「これはちゃうか」を上梓するなど多方面で才能を発揮。お笑いでも漫才・コントともにネタに定評があり、決勝戦では企業面接を題材にルッキズムにも触れたイマドキのコントを披露した。

 村上のボケやキャラの強さ、そして加納のキレのあるツッコミに、SNSでは<ツッコミのキレがすごい><落ちのスピード感がいい>などの反響が。審査員の田中が「完璧に近い」、友近も「最後までクオリティを保っていた」と評価していた。最後は僅差でヨネダ2000に敗れるも、国民投票の1票はAマッソに。秀逸なネタでエース級の力を見せることができていたのではないか。

早くも気持ちを「M-1グランプリ」に切り替えているヨネダ2000。神保町よしもと漫才劇場公式ツイッター(@jimbocho_manzai)より。

【決勝戦 Bブロック】
天才ピアニスト/爛々/スパイク/フタリシズカかりこる

 Bブロック1組目、“七色のキャラ劇場”こと「天才ピアニスト」は昨年度準優勝の実力者。今年度はNHK上方漫才コンテストでも優勝に輝き、勢いに乗っている。

 1本目のネタは、ケンカを見物するおばちゃんのコント。設定から観客にインパクトを与え、会場でも一番のウケを見せていた。SNSでも<毎年磨かれていってる。ツッコミの進化が凄まじい><発想が良すぎる>などとかなりの好印象。最終決戦のネタも理想の家族団らんをテーマに、VRを取り入れたイマ風のコントで、国民投票も勝ち取って6代目女王に輝いた。

 優勝後にはボケのますみが「単独ライブ毎月やって、ネタ磨いて、ほんまにうれしい」とコメント。昨年の準優勝に終わった悔しさをバネにストイックに新ネタを作り続けて、磨いているコンビが優勝したことはお笑いファンも納得の嬉しい結果だったことだろう。副賞の日本テレビ系番組23本出演を活かし、今後テレビでも多くの活躍を見せて「人生を変える」ことに期待も大だ。

 Bブロック2組目、“しゃべくりブラックダイヤ”の「爛々」は、鋭い関西弁のしゃべくり漫才で関西を中心に頭角を表している注目のコンビ。今大会でもやはり漫才で勝負をかけてきた。黒のスタイリッシュな衣装と勢いの良さが特徴で、大国麗がネタ中に発する「チョメ!」が視聴者の印象に残った。

 SNSでも<声ええし勢いもすごいし突っ込みの方が良すぎる><古き良きなにわ感w>など、隅々まで絶賛の反響だった。関東の視聴者からも<初めて見るけど好き>という声があがり、敗れるも全国区で注目されるきっかけになったのではないか。今後、持ちギャグの「チョメ!」が流行るのが楽しみだ。

 Bブロック3組目、“怪演モンスター女子”こと「スパイク」は、二人ともアイドルグループ吉本坂46のメンバー。3年連続の決勝進出で、今回の決勝進出者では最年長となるベテランの風格を見せてくれた。

 プリンセスをテーマにしたコントは、あざとくも可愛い店員のキャラなど設定のインパクトが強く、世界観も分かりやすかった。SNSでは<アナ雪見てる気持ちになってきた><声綺麗だなw>などと、設定の面白さやインパクトの強さに感心する声が続々。コントの面白さはもちろんだが、キャラクターのインパクトも含め、視聴者に印象を残したことだろう。

 Bブロック4組目、“からくりコントクリエイター”の「フタリシズカかりこる」は、男女コンビ「フタリシズカ」でボケとネタ作りを担当。2020年のABCお笑いグランプリ3位や、2021年のぐるナイおもしろ荘準優勝など勢いに乗っており、かりこる自身も「有吉ジャポンII ジロジロ有吉」(TBS系)では身体を張ったロケに多数挑戦している。

 そのかりこるは今回、声変ネタを披露。ネタ後は「緊張したけどおもいっきりできたと思います」と胸を張った。SNSでも<凄い斬新で面白かった!><アイディアで面白い>など、ピンネタでも評価を受けていた。ツイッターのトレンド入りも果たすなど、今後もさらに注目が高まる予感だ。

優勝後にはさっそく「ファイナリスト」の文字が「優勝」に書き換わっていた。©日本テレビ

【決勝戦 Cブロック】
河邑ミク/エルフ/紅しょうが/にぼしいわし

 Cブロック1組目、“あざと恐ろしい清純派”こと「河邑ミク」は芸歴9年目のピン芸人。「THE W」では毎年準決勝進出を決めており、R-1グランプリでも2018年と2019年に2年連続でファイナリストに。ほかにも新人お笑い尼崎大賞奨励賞と好成績を残しており、今大会が「THE W」で初の決勝進出となった。

 決勝戦ではカンニングをする顔芸が印象的な一人コントを披露。見た目の可愛さにも注目が集まるなか、彼女らしいあざとさにあふれる巧みさを決勝の場で発揮した印象だ。

 SNSでは<演技がほんとに凄い><可愛さとカオス><緩急があるから上手い>などと、可愛らしさに加えてネタの緻密な面白さや表現が評価されていた。次回がラストイヤーとなる「R-1」や今後の活躍にも期待したい。

 Cブロック2組目、“ネタに硬派なギャル芸人”の「エルフ」は、ボケの荒川による「ギャルしか勝たん、ハッシュターグ!」でお馴染みの人気コンビ。今年から活動拠点を大阪から東京へ移している。

 賞レースでは2017年に新人お笑い尼崎大賞で奨励賞を受賞。「THE W」では2020年、2021年と2年連続で準決勝で敗退しており今大会が初の決勝進出だ。漫才のイメージが強いなか、今回はタメ口の店員とギャルのキャラを生かしたコントを披露した。

 SNSでは<ハートフルな笑い><ギャルが人生に潤いを…!>など、キャラに負けない設定やネタの面白さが共感を呼んでいる様子だった。お茶の間にウケやすいハピネスなキャラで、今後も様々なシーンで活躍することだろう。

 Cブロック3組目、“無冠クイーンの大逆襲”こと「紅しょうが」は、「THE W」で4度目の決勝進出。三度目ならぬ4度目の正直なるかが注目されていた。

 ボケの熊元が「女子〜!」と呼びかけるツカミで始まる漫才の印象が強いが、1本目では酒席帰りの泥酔女と彼氏募集中の女が路上で展開するコントを披露。ワードワードにウケポイントがあり、笑いの手数も多い印象だ。SNSでも<安定感がありすぎる><漫才しか見たことなかったけどコントの方が好きかも!>と好印象。「変な汁ついた」や「察したってー」といったネタ中のワードがSNSで話題となり、審査員も言及するなど強いインパクトを与えていた。審査員の哲夫は「構成も見事。展開も見事だなと思った」と高評価、完成度の高さが窺えた。

 最終決戦では、3組中で唯一の漫才を披露。1本目のコントと演り分けた姿に、SNSでは<二刀流で勝負ってかっこええやん><場数の強さや実力を感じる>との称賛を浴びていた。2本のネタで二刀流の強さを見せた紅しょうが、来年こそ5度目の正直で「THE W」優勝に期待したいところだ。

 Cブロック4組目は“地下劇場の星”こと「にぼしいわし」。大きな事務所に所属していないなか「THE W」は3度目の決勝進出となる実力派コンビだ。自分たちのこだわりから拠点を大阪に置き、所属なしのフリーを貫き通して活動している。

 フリーの意地見せますと意気込んで参加した今大会では、“攻めた水族館”をテーマにしたコントin漫才を披露。審査員の田中は「年々上達している」と評価し、SNSでも<凄えダークホース来たなw><しゃべくり漫才でここまで表現できてすごい!>と高い評価を受けることに。

 今回の大会では結果的に、最終決戦進出者が3組とも吉本所属芸人で占められていたが、フリーの芸人が賞レースで優勝すればお笑い界の現状に一石を投じることとなる。来年度の「THE W」でも「にぼしいわし」が注目のコンビになりそうだ。

来年の「5度目の正直」に意気込みを新たにする紅しょうがの二人。紅しょうが 熊元プロレス公式ツイッター(@KumamoP)より。

 今回の「THE W」決勝戦には全12組が出演したなか、例年の傾向からコントのほうが優勝しやすいという判断があったのか、全体的にコントで勝負する芸人が多い大会となっていた。優勝した「天才ピアニスト」だけでなく、他の11組にも今後、注目が集まることになりそうだ。

(はせいあい)

※トップ画像はヨネダ2000誠公式ツイッター(@smzmsm)より。