【舞いあがれ!】飛び込み営業する舞に「航空学校編との整合性は?」の疑問が浮上!

 これで簡単に仕事を取ってくることができた日には、視聴者も呆れかえってしまうことだろう。

 1月16日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第72回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が実家の部品工場「株式会社IWAKURA」の営業課社員として、初めての飛び込み営業を経験する姿が描かれた。

 自分の名前が入った名刺を手に訪問したカワチ鋲螺では、十年来の担当者から「そない簡単に信用でけへんのですわ」と言われてしまう舞。その様子に、これまでの物語と整合性が取れなくなる恐れを抱く視聴者も少なくなかったようだ。

 社長だった父親の浩太(高橋克典)が急逝し、母親のめぐみ(永作博美)が新社長に就任したIWAKURA。実家の工場を助けたいとの思いを抱く舞は「社会人1年生のための はじめての営業」というハウツー本を買い込み、ゼロから営業を覚えようとしていた。

 その姿に、11月10日放送の第29回にて「パイロットという職業」という本を読んでいたころを思い出した視聴者もいたことだろう。当時の舞は人力飛行機のスワン号で空を飛んだ経験から、パイロットになりたい気持ちが募っていた。

 そこから1年かけて受験勉強し、航空学校に合格。さらに2年弱の訓練を経て、やっと「パイロットの卵」になった舞。もはやパイロットになる夢は捨て去ってしまったものの、その入り口に立つだけでも彼女は3年もの時間と膨大な訓練を積み重ねてきたのである。

「本作ではパイロットになることがいかに大変な道のりなのかを、4週間に及んだ『航空学校編』で描いてきました。それならば町工場の営業職として一人前に成長していく姿も、同じくらいの手間ひまを割いて描かなければ整合性が取れないというもの。なにしろ現在の舞は転造加工と切削加工の違いさえ分からない有様で、部品工場の営業職として半人前どころかゼロ人前と言える状況です。そんな彼女があっさりと営業に成功でもしたら、制作陣は町工場という仕事を軽く見ていることになってしまいます」(週刊誌記者)

 もちろん経営者の家族という立場は、町工場の営業にとっては重要な要素である。どの営業先に行っても「前社長の娘」と認識されるのは確実で、それだけでもズブの素人よりははるかに有利な立場にいると言えるだろう。

 そもそも「IWAKURAの岩倉舞です」と名乗ること自体、自分が経営者一族だと自己紹介しているも同然だ。実際、カワチ鋲螺に飛び込み営業した際には「お父さんにはえらい世話になりましたんや」と挨拶されていた。

カワチ鋲螺の担当者に軽くあしらわれてしまった舞。トップ画像ともに©NHK

 それなれば名刺が単に「営業課 岩倉舞」となっているのはおかしな話。経営者一族であることは隠しようがないのだから、新入社員と言えど主任や課長代理くらいの肩書きは入れるべきだろう。

「中小企業では『家族と言えども平社員から始めさせる』という話もよく聞きますが、それは社内や取引先が次期社長含みであることを知っているからこそ。しかし舞の場合、視聴者の目から見ても『お嬢さんの腰かけ』程度にしか見えず、これでは周りも舞をどう扱ったらいいのか分からないというものです」(前出・週刊誌記者)

 そのチグハグさは、制作側が「新社会人の舞」をどう描きたいのかが視聴者に伝わっていないから生じるのではないだろうか。

 倒産の瀬戸際にあるIWAKURAのために身を粉にして働くのであれば、航空学校での厳しい訓練に比べてもそん色がないレベルの苦労をするべき。制作陣は「町工場の営業職」をどれだけきっちり描くことができるのか。視聴者は厳しい目で舞の振る舞いを見ていることだろう。