【舞いあがれ!】悠人の「マンションにせえへんか」、実はとんでもない神プランだった!

 その話に乗らないなんてありえないよ! そう叫んだ視聴者も少なくなかったことだろう。

 1月17日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第73回では、岩倉家の長男で投資家の悠人(横山裕)が、母親のめぐみ(永作博美)にマンション経営を勧める様子が描かれた。その申し出が実は神プランと言えるほどの好条件だったという。

 岩倉家では部品工場の株式会社IWAKURAを経営していた父親の浩太(高橋克典)が急逝し、妻のめぐみが社長業を継ぐことに。ヒロインの舞(福原遥)もパイロットへの道をあきらめて家業を手伝うことにしたが、リーマンショックで受注も激減しており、お先真っ暗の状況だ。

 投資家として成功している悠人は、舞から会社に投資するよう頼まれるも、死に体も同然である工場への投資は拒否。ところが今回は自ら実家に足を運び、マンション投資を勧めたのである。

「悠人は『初期投資は俺がする』と男気を見せました。そうすれば信用金庫からの3億円におよぶ借金もなくなり、めぐみは家賃収入で生活できるというのです。その提案に一部の視聴者からは《マンション経営も難しいよ》《投資家らしくない甘い見通し》といった批判も出ていましたが、それは悠人の真意を測り損ねた反応でしょう」(週刊誌記者)

マンション投資のパンフレットをめぐみに渡した悠人。トップ画像ともに©NHK

 ここで重要なのは、悠人が「ほんなら借金はなくなって」と断言したことだ。IWAKURAでは前年、業務拡大を図るために3億円を借り入れて新工場を建設。1500万円もする工作機械を6台導入するなど最新鋭の設備を備えていた。

 一方で工場が建っている土地については、その土地を活かしてマンション経営をするという提案であることから、自社保有であることは確実。つまりIWAKURAでは3億円の資金で土地を買い、工場の建屋を建設し、工作機械をそろえていたのである。

「マンションを経営するからには建屋は取り壊しになりますし、工作機械を全部売り払ってもせいぜい1億円になるかどうかで、借金返済にはほど遠いはず。ところが悠人は『借金はなくなって』と保証していたのですから、彼が言う初期投資とは、信用金庫からの借り入れを全額返済することに等しいはずです」(前出・週刊誌記者)

 借金がなくなれば、岩倉家には土地が丸ごと残ることとなり、その土地を担保にマンションの建設資金を新たに借り入れることが可能となる。

 岩倉家は東大阪市の近鉄沿線にあり、マンションを建てるには絶好の場所。これなら土地さえあれば自己資金がなくてもマンション経営は可能だろう。

「悠人は投資家として、あえて『初期投資』という言葉を使ったのでしょう。ただ彼の申し出は実質的に、実家を救済するも同然です。信用金庫側ではすぐに会社を畳めば借金は完済できるとしていましたが、それは土地も手放すことを意味しています。悠人の申し出に乗れば手元に土地が残り、マンション経営で生活は安泰。舞もあらためてパイロットを目指すことができるはずです」(前出・週刊誌記者)

 もっとも話の流れ的に、めぐみや舞が悠人の申し出を受けないことは明らか。ここはIWAKURAの跡地にマンションが建つアナザーストーリーを観てみたいという視聴者も少なくなさそうだ。