【舞いあがれ!】ボルト試作で「機密保持契約」を完全無視!さらなるトラブルの呼び水となるか?

 物語が順調に進むなか、首をかしげる視聴者が続出しているようだ。

 1月27日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第81回では、菱崎重工業から依頼された航空機エンジン用ボルトの試作に成功する場面で幕を閉じていた。だがその過程を疑問視する視聴者が少なくないという。

 ヒロインの岩倉舞(福原遥)は亡き父の夢であった航空機部品の製造に意欲を燃やし、中小企業を集めたセミナーに参加。1月25日放送の第79回では、セミナーで知り合った菱崎重工業の荒金(鶴見辰吾)から、ボーリガード社が開発する新型エンジン用ボルトの試作を打診された。

 岩倉家が営む部品工場の株式会社IWAKURAでは、航空機用部品は未経験。だがプロジェクトリーダーを任された舞は周りの協力を得て試作にまい進し、ついに成功に漕ぎつけたのだった。だがその過程には大きな問題が潜んでいたのである、

「新型エンジンのボルトを試作するにあたっては、発注元の菱崎重工業との間で『NDA』を締結するのが常識。これは秘密保持契約のことで、開発に関わる情報を他者に漏らすことは厳禁です。IWAKURAような工場に限らず、ソフトウェア業界やサービス業など様々な分野でNDAは日常的に結ばれており、関係者は全員、守秘義務を負います。ところがIWAKURAでのボルト試作に際しては、NDAを完全に無視した行動があまりにも目立っているのです」(IT系ライター)

 舞は工場の職人たちに、守秘義務について説明することもなく図面を配布。そもそもボーリガード社が新型エンジンを開発していること自体が秘密なのにも関わらず、何の断りもなく図面を見せていた。

 さらにはかつてIWAKURAをリストラされ、長井金属工業に移籍していた小森(吉井基師)にも図面を見せることに。いくら顔見知りとはいえ他社の従業員に秘密を開示するなど言語道断だが、長井の機械を借りて試作をするあたり、どうやら身内なら構わないと思っている様子だ。

 しまいにはベテラン職人の笠巻(古舘寛治)がかつてお世話になっていた工場にて、現在は使っていない丸ダイスという工作機械を借りて、試作を続行。もはや舞にとって顔見知りですらないところにまで、情報漏洩を広げていたのである。

ボルト試作の様子を他社の経営者が背後から観察。これだけでNDA的にはアウトだ。トップ画像ともに©NHK

「工場の現場やNDAを知る視聴者からは『ありえない』と呆れ声があがっています。ただ本作にはねじ製造や町工場、そして航空部品製造の考証を担当するスタッフも参加。さすがにNDAの存在を知らないことはありえません。そのため舞たちが秘密保持をせずにボルトの試作を進める場面が、実は伏線になっているとにらむ声もあるのです」(前出・IT系ライター)

 試作品の完成後にはIWAKURAの従業員たちが集まり、ホワイトボードに「完成」と大きく朱書き。あとは発注元により検査を待つばかりだ。

 しかしその検査にて、IWAKURAに対して失格の烙印が押される可能性が見え隠れしているのである。

「試作品そのものはOKであっても、検査においては試作の過程もチェックするはず。その際に『御社で秘密漏洩がありました』と指摘されたらおしまいです。たとえば同じ東大阪の別の工場から、菱崎重工業に対して『我が社でもボルトの試作にチャレンジしたい』という声があれば、IWAKURAが秘密漏洩していたことが判明しますからね」(前出・IT系ライター)

 果たして新型ボルトの試作完成は、舞やIWAKURAにとって大きな一歩となるのか。それとも大きな落とし穴なのか。視聴者としてもハラハラドキドキするところだろう。