【舞いあがれ!】悠人が工場の権利を無償譲渡!航空機産業に参入する足掛かりになる?

 この急展開には、ヒロインの夢を後押しする効果が期待できそうだ。

 2月2日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第85回では、株式会社IWAKURAの将来に大きな変化が生じる兆しが見られた。それはヒロインの岩倉舞(福原遥)が抱く夢の実現に向けての第一歩かもしれないという。

 舞の実家で部品工場のIWAKURAは、4年前に先代社長で父親の浩太(高橋克典)が亡くなり、倒産の危機に瀕していた。それを救ったのが長男で投資家の悠人(横山裕)。悠人は会社の土地や建物を買い取り、その資金でIWAKURAは借金を完済。オーナーの悠人に家賃を払うことで営業を続けていた。

 今では経営状態も上向き、浩太の夢だった航空機部品の試作にもトライできるようになったIWAKURA。しかも今後、さらに業務を拡大できる可能性が浮上したというのである。

「終盤では悠人が母親で現社長のめぐみ(永作博美)を呼び出し、『IWAKURAの権利、おふくろに返そうと思っている』と書類を渡しました。どうやら悠人の運営する投資ファンドの成績が悪く、それが実家に悪影響を及ぼさないよう、IWAKURAとの関係を解消したいようです。そんな悠人の思いがIWAKURAに与える好影響はかなり大きいことでしょう」(週刊誌記者)

めぐみに会社の権利を譲り渡した悠人。トップ画像ともに©NHK

 悠人は土地や建物を3億円ほどで買い取っており、相場の年利4%でリースしていたなら、IWAKURAは毎年1200万円ほどの家賃を払っていたことになる。その家賃支払いがなくなれば、今後の経営に大きな余裕が生まれるのは確実だ。

 今回はおそらく無償譲渡の形となっており、IWAKURAには“受贈益”が発生。法人税の対象となり、今年度に限っては同社に大きな税負担が発生するはずだ。とはいえ法人税の実効税率は30%前後であり、見方を変えればIWAKURAは土地や建物を7割引きで取得したのも同然。今後は東大阪という都市部の土地を優良資産として保有することになる。

 土地や建物の不動産に加え、町工場に必須の工作機械も自社保有となり、IWAKURAの財務状況は大きく改善。今後はリスクを取りながらの経営も可能となることだろう。そのタイミングで同社には大きなチャンスがもたらされたのである。

「菱崎重工の荒金からは航空機部品の製造に特化することを勧められました。社長のめぐみは『そんなリスク、挑む勇気がありません』と辞退していましたが、悠人のおかげでIWAKURAにはリスクを取る余裕が生まれることに。新たな工作機械を導入することもできるでしょうし、将来有望な航空機部品に業態転換できる可能性が浮上したのです」(前出・週刊誌記者)

 その荒金は新入社員時代、浩太が先輩だったことを告白。二人はオール日本製の航空機を作るんだとの夢を語り合っていたという。そんな父の想いを、息子の悠人が後押しする形となったのは、家族ならではの巡り合わせなのかもしれない。