【舞いあがれ!】悠人を犯罪に追い込んだのは岩倉家?誰にも頼れない長男にしたのは誰なのか

 2月6日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第87回では、岩倉悠人(横山裕)のインサイダー疑惑が大きく報じられ、東大阪市の実家にまで記者が押し寄せることに。ラストシーンでは悠人が雨のなか、公園で行き倒れになる姿が描かれた。

 どうやら悠人がインサイダー取引に手を染めたのは事実のようだ。投資家にとっては絶対的な禁じ手でありながら、どうしてそんな下手を打ったのか。そのヒントが妹でヒロインの岩倉舞(福原遥)から語られたというのである。

「実家の前で張りこむ記者を避け、幼馴染の貴司(赤楚衛二)が営む古書店のデラシネに身を寄せた舞。そこで彼女は『誰か助けてくれる人、おるんかな?』と悠人の身を案じつつ、『お兄ちゃん、昔からなんでも一人でできたから』とつぶやいていました。しかしその言葉こそが、悠人を犯罪に手を染めるところまで追い込んだ元凶なのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)

 舞のつぶやきには視聴者からの批判が続出。悠人が子供のころからなんでも一人でこなしてきたのは、そうするように家族が仕向けてきたからだというのである。

 振り返ってみれば、父親の浩太(高橋克典)と母親のめぐみ(永作博美)はいつも、妹・舞の世話ばかりを焼き、悠人は常にないがしろにされてきた。何かと熱を出しがちだった舞は小3の時、めぐみの故郷である長崎・五島にて転地療養。その間、中学受験を目指していた悠人は、町工場を営む父親との二人暮らしを余儀なくされていた。

 やがて町工場には経営危機が訪れ、両親は悠人に対し、学費のかさむ私立中学受験をあきらめるように説得。当然、悠人は猛反発だ。幸い、経営が持ち直したことで私立中には進学できたものの、貧乏くじは常に悠人が引く形だった。

 その悠人は東大に現役合格。自らの目標を有言実行し、最大級の親孝行を果たしていた。しかし学生時代に株式投資を始めると、「ものづくりこそ正業」との信念を持つ父親からは虚業呼ばわりされることに。母親も悠人の肩を持つことはなく、ただ心配するばかりだ。

 しまいには大手電機メーカーを退職して投資家に転身した悠人に対し、父の浩太は「夢はないんか!?」と問いただす始末。世界中の金融業を支えている投資業という立派な仕事を、とことん見下し続けていたのである。

悠人の身を案じる舞。トップ画像ともに©NHK

「舞は兄のことを案じているようですが、実際には『一人でこなすより周りに助けを求めるほうが良い』と、自分が甘受してきた価値観を押し付けているだけ。しかも家族である悠人を自分たちで助けに行こうともせず、押し寄せる記者という火の粉を振り払うだけです」(前出・テレビ誌ライター)

 そもそも悠人はこれまで、岩倉家に何一つとして迷惑をかけたことはなく、それどころか経営危機の際には工場などを買い取って救済してもらっていたほど。家族にとっては命の恩人とさえ言える存在なのに、なぜインサイダー取引に手を染めた犯罪者として描かれるのか。

 それは制作側にも「投資業は虚業」との先入観があるからではないか。町工場である株式会社IWAKURAが無謀にも航空機部品に挑戦する姿は好意的に描かれるのに対し、悠人の投資ファンドについては怪しげな存在として描写。この違いが今回のインサイダー取引に繋がっているのではないだろうか。

 果たして悠人は今後どうなるのか。投資業から足を洗って「正業」に就くという展開であれば、納得のいかない視聴者も続出するに違いないだろう。