その同情は危険の前触れでは…。視聴者はそんな不安を感じているようだ。
2月20日に放送される「罠の戦争」(フジテレビ系)第6話では、代議士になった主人公の鷲津(草なぎ剛)がいよいよ、幹事長の鶴巻(岸部一徳)に“戦争”を仕掛けることに。物語の後半戦を迎え、事態は大きく動き出す気配を見せている。
その鷲津を献身的に支えているのが秘書の蛍原(小野花梨)。だが彼女は大臣秘書当時の鷲津が運送会社社長の陳情を放置し、その結果、社長が過労死に至った経緯を知ってしまった。第5話では鷲津が作った報告書をファイルから抜き取っていたが、彼女が気にしているのは秘書見習いの蛯沢(杉野遥亮)のことだ。
蛯沢は亡くなった運送会社社長の弟。陳情を放置したのが犬飼大臣(本田博太郎)だと勘違いし、復讐を果たすため犬飼事務所に潜り込むも、犬飼が失脚したことにより気は晴れていた様子だった。だが蛯沢には別の顔があるかもしれないというのである。
「蛯沢の回想には陳情について兄と会話するシーンもあり、犬飼大臣を恨んでいたのは間違いありません。しかし彼の行動にはさらに裏側がある可能性も。というのも倒産してしまった兄の運送会社に関して、明らかに辻褄の合わない場面があったからです」(テレビ誌ライター)
それは第4話でのこと。出馬を検討する鷲津のために蛍原は、蛯沢を連れて後援会長の身辺を調べていた。その最中に蛯沢は、廃墟となってしまった兄の運送会社に蛍原を案内。兄が過労死したことで抵当となっていた自宅兼事務所を追い出され、大学院も辞めたことを明かしていた。
そんな蛯沢に「大変だね」と同情的な蛍原。工場跡には「(株)なのはな運送」と書かれた看板が放置されており、寂しそうにその看板を見つめていた。しかしその看板が明らかにおかしいというのである。
「蛯沢の兄が陳情の際に差し出した名刺には『(有)なのはな運送』と記載されており、蛯沢の回想シーンでも事務所には同じ社名が大きく書かれていました。しかし今にも倒産しそうな会社が、有限会社から株式会社に改組することなどあり得るでしょうか。その逆パターンも2006年に会社法が改正されており、有限会社の新規設立は不可能。つまり蛯沢が案内した事務所跡はフェイクだった可能性があるのです」(前出・テレビ誌ライター)
鷲津が担当したとされる陳情の書類についても、誰かが鷲津を陥れるために作成したフェイクとの指摘もある。よもや蛯沢は最初から鷲津が陳情を無視したと知っており、真のターゲットは鷲津ではないだろうか。その手段として手始めに犬飼大臣を失脚させ、代議士に当選させたうえで鷲津を引きずり落とす。そんな「罠」を仕掛けたとの筋書きも十分にあり得そうだ。
本作では登場人物の名前に動物が入っており、鷲津の「鷲」は生態系のトップに君臨する猛禽。しかしいくら鷲が強いといっても、海底に暮らすエビ(蝦)を食べるのは難しいだろう。そして蛍原の「蛍」は虫。彼女は自分でも気が付かないうちに、鷲津にとって「身中の虫」となっているのかもしれない。