2月22日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第99回では、町工場への騒音苦情に対処する方法として、ヒロインの梅津舞(福原遥)がオープンファクトリーを提案。町工場の経営者たちからは否定的な声ばかりがあがっていたが、そこにヒントが隠されていたようだ。
舞が暮らす東大阪市には町工場が集積しており、自治体別の事業所数では全国で5位、集積度では全国トップとなっている。だが町工場の撤退した跡地が住宅地となることで、町工場から出る騒音への苦情も増えることに。作中でも市役所職員が騒音測定している様子が紹介されていた。
「舞は新聞記者の御園純(山口紗弥加)から『オープンファクトリー』について教えてもらうことに。大人の社会科見学と言えるオープンファクトリーを導入し、地域住民との相互理解を深めれば、騒音苦情も減るとのアイデアです。しかし町工場の経営者が集まった食事会にて舞がオープンファクトリーについて提案するも、職人の休みを削ることになるとの声が続出。これには舞もすっかり困った様子でした」(テレビ誌ライター)
オープンファクトリーは工場が休みとなる土日祝日に開催する必要があり、職人は休日出勤を余儀なくされる。しかも、あくまで業務であることから休日出勤分の給与増も発生。経営の大変な町工場にとっては対応が難しいのは言うまでもない。
この第99回では東大阪市役のモノづくり支援室に勤める安川龍平(駿河太郎)が登場。パワフルな人物とのことで、舞のオープンファクトリーを後押ししてくれそうだ。とはいえ休日出勤分の給与については市役所が補助金で対応できる可能性があるものの、さすがに代休までは保障できないはず。安川や舞が案内役を務めるにしても、現場の機械にまでは精通していないはずだ。
「ここで注目したいのが、古参職人の笠巻(古舘寛治)です。69歳の笠巻はぎっくり腰を患ったこともあり、引退を決意。前日の第98回では会社の朝礼で退職の挨拶をしていました。その笠巻なら工場のことをなんでも知っていますし、退職後の時間を持て余しているでしょうからオープンファクトリーのスタッフにはぴったり。しかも笠巻にはその仕事に関わりたい動機もあるのです」(前出・テレビ誌ライター)
妻と死別した笠巻は一人暮らし。すでに嫁いだ一人娘とは折り合いが悪いらしく、自宅には孫と一緒に遊ぶために買ったプラモデルが山積みであることが第98回で明かされていた。仕事以外にこれといった趣味を持たない笠巻はいま、人との触れ合いを必要としていることだろう。
その笠巻ががオープンファクトリーに関われば、見学者に仕事の内容を説明することができ、彼にとっては得意な分野だ。しかも孫が訪れてくれれば、じいじがどんな仕事をしていたのか、そして周りからどれほど尊敬されていたのかも示せるではないか。
一方で会社側にとっては、現場で働く職人の手を煩わせることなく、オープンファクトリーに最適な人材を確保できることになる。このように笠巻の活用はお互いにとってベストな選択肢となりえるのだ。
「第98回を見た視聴者からは、ぎっくり腰くらいで笠巻が引退を決意するものかという疑問もあがっていました。それがオープンファクトリーへの伏線ならば納得できるというもの。タイミングの良さが強引ではあるものの、舞の幼少時から本作の主要人物だった笠巻がぎっくり腰で引退という寂しい退場にならないで済むなら、視聴者としても大歓迎ではないでしょうか」(前出・テレビ誌ライター)
実際に笠巻(古舘)が説明員を担当するオープンファクトリーなら、「舞いあがれ!」の視聴者も参加してみたいはず。NHKにはぜひ実現を検討していただきたいところだ。