【舞いあがれ!】やはり貴司は旅に出る?125日ぶりに回収された伏線「ねむれ巴里」に注目!

 ここでその本が登場するのか! 思わず声をあげた視聴者もいたようだ。

 2月27日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第102回では、歌人の梅津貴司(赤楚衛二)に雑誌連載の話が舞い込むことに。長山出版のリュー北條(川島潤哉)が打診したのは、日本中で短歌教室を開催しながら歌を詠んでいくという旅連載ものだった。

 幼馴染でヒロインの舞(福原遥)と結婚したばかりの貴司。だが北條は、貴司がかつて日本中を放浪しながら各地で得た気付きを短歌にしていたことを指摘。「旅しながら歌を作る。それが梅津さんの原点でしょ」との指摘には、貴司自身も芯をえぐられていたようだ。

 その場面にて、10月25日放送の第17回で示された伏線が回収されていたというのである。

「貴司が営む古書店のデラシネで北條は、テーブルに置かれた小説『ねむれ巴里』を指さしながら、旅に出るよう迫っていました。詩人の金子光晴による自伝三部作のひとつである同書は、金子が妻の三千代と共にヨーロッパで窮乏生活を送っていた時期を描いた作品。内容的にも貴司に旅連載を促すにはピッタリですが、貴司がこの本を購入したのはシステムエンジニアとして働き始めた第17回でのことだったのです」(テレビ誌ライター)

 第15回では舞が高校を卒業して浪花大学に入学。続く第16回では貴司が就職し、幼馴染の久留美が看護学校に進学したことが示された。そして第17回では3人が貴司の実家であるお好み焼きうめづに集まり、お互いに近況報告したのだった。

 スーツ姿の貴司は「これ、思い切って初任給で買うた」と言いながら、カバンから3冊の本を取り出していた。久留美は「さっすが文学青年! 初任給で買うもんがちゃうわ」と茶化していたが、そこで貴司が手にしていた本こそ「ねむれ巴里」と「どくろ杯」、「西ひがし」という金子光晴の自伝三部作だったのである。

第17回で貴司の購入した「ねむれ巴里」が、第102回で再登場した。トップ画像ともに©NHK

 当時は視聴者のあいだから、海外放浪の自伝を買うような貴司に、営業も必要なシステムエンジニアが務まるとは思えないの声があがっていたもの。その予想通りに貴司は会社を辞め、長崎・五島列島に向かったのを皮切りに、日本各地を放浪する旅人生をスタートしていた。

「その『ねむれ巴里』がデラシネのテーブルに置かれており、しかも栞が挟まっていたということは、貴司がこのタイミングで同書を読み返していたことを意味します。ここにきて125日ぶりに伏線が回収されたばかりか、またもや第17回の時と同じように、旅に出る伏線として機能している可能性も十分に高そうです」(前出・テレビ誌ライター)

 18歳当時の貴司がこの本を買った時、舞との結婚まで想定していたとは思えないが、自分がいずれ旅に出ることは予感していたはず。その本をあらためて手に取ったことの意味を、視聴者は実感しているのではないだろうか。