これと同じような光景、見たことあるぞ…。そう感じた読者も多かったようだ。
3月2日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第105回では、ヒロインの梅津舞(福原遥)が新聞記者の御園純(山口紗弥加)と共に、起業を目指す姿が描かれた。その展開に多くの視聴者が既視感を抱いているという。
東大阪の町工場を繋げる仕事をしたいと意気込む二人。起業を目指す舞は夫・貴司(赤楚衛二)が営む古書店のデラシネにて、パソコンに向かって事業計画書を作成していた。
彼女は3冊ほどの本を買い込み、熱心に勉強。1冊は「事業計画書作成術」という書籍で、他の2冊は書名に「起業」の文字が入っていた。熱心なのは結構なことだが、本作ではこれと似た場面がこれまで二回、あったというのだ。
「最初は11月10日放送の第29回にて、大学生だった舞が『パイロットという職業』という本を読み、パイロットへの夢を膨らませていた場面。二回目は1月16日放送の第72回でIWAKURAの営業課に入社した舞が『社会人1年生のためのはじめての営業』という入門書を読んでいたものです。このように彼女は新しい世界に飛び込むとき、入念に下調べをするタイプであることが示されています」(テレビ誌ライター)
舞の熱心さは折り紙付きで、パイロットに関しては航空学校を卒業して操縦免許を取得。営業面ではIWAKURAで営業課のエースへと成長していた。このように彼女は「やればできる子」なのである。
それゆえ今回の起業に関しても、兄・悠人(横山裕)の助けも得て、上手くいくのだろう。悠人の指摘通り、商売として成り立つのかははなはだ疑問だが、ヒロインがやることはどうせ上手くいくに決まっている。だからこそ、舞が起業する会社の将来も見えてくるというのだ。
「舞の人生ではやりたいことを見つけては没頭し、ある程度の成果を上げた時点でほかのことに興味が移る、という展開を繰り返しています。パイロットを目指していたことはすっかり忘れ去られ、家業であるIWAKURAの営業もなぜか舞なしでまわっています。それゆえ今回の起業に関してもおそらく、途中で投げ出すに違いありません。物語は今後、舞が電動小型飛行機の制作に乗り出すことが分かっています。さすがに東大阪の技術だけで飛行機が作れるはずもなく、その事業主体は舞の会社ではない可能性が高そうです」(前出・テレビ誌ライター)
その場合、舞が起業した会社はどうなるのか。その時こそ一緒に会社を立ち上げる御園の出番ではないだろうか。東京生まれの新聞記者が脱サラして、東大阪の町工場を繋ぐ会社を作るというのもおかしな話。その無理を押し通してこそ、ヒロインの舞は自分の気持ちが赴くままに舞いあがれるというわけだ。
実のところ御園すら、舞の夢を叶えるための駒でしかない可能性は高い。ただ本作が「舞の思い付きはなんでも実現する物語」であることが視聴者にも透けて見えてしまったいま、舞が御園と一緒に起業するのは当然だと思えて仕方のないことだろう。