【舞いあがれ!】舞がこんねくとを放り出す未来が見えた?垣間見えた御園の役割とは

 だから大手新聞社を辞める必要があったのか。視聴者も腑に落ちていたようだ。

 3月7日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第108回では、ヒロインの梅津舞(福原遥)が起業した新会社の「こんねくと」にとって初の商品が試作に成功。舞の狙いが具体的な形となった。

 その「こんねくと」は元新聞記者の御園純(山口紗弥加)と共に創業。だがいまのところ試作品のアイデアや町工場への説明などはすべて舞の担当であり、御園の役割は記者時代の経験を活かして試作品の写真を撮影する程度に限られている。そもそも「こんねくと」にて御園はどんな役割を果たしているのだろうか。

 一方で今回、舞の幼馴染で看護師の望月久留美(山下美月)が、長崎県の病院でドクターヘリに乗務するフライトナースの仕事に興味を持っていることが明らかに。これらの要素を組み合わせると、御園が今後どんな役割を果たすかが浮かび上がってきたという。

「舞は今後、長崎の離島を結ぶ電動小型飛行機の開発に乗り出すことが明らかになっています。しかし『こんねくと』の規模では飛行機開発に関わることはまず不可能。おそらく舞は長崎に事業所を構える菱崎重工と協業するのでしょう。そうなるとがぜん、御園の存在が意味を持つことになりそうです」(テレビ誌ライター)

 母親の実家が長崎の五島である舞はパイロットのライセンスも保有しており、彼女が飛行機開発に乗り出すのはごく自然のこと。そこに幼馴染の久留美も絡んできたことで、最終回の近づいてきた本作にて、あらためて五島がクローズアップされるのは確実だろう。

 しかしその場合、せっかく起業したばかりの「こんねくと」を放り出さぜるを得ないはず。もっとも舞はこれまで、いくつもの夢に突き進んでは、途中で放り出すという流れを繰り返してきた。

 浪花大学では人力飛行機のパイロットを目指し、琵琶湖の上を飛んだだけで満足。次に旅客機のパイロットを目指し、航空学校を卒業するも、エアラインへの内定は辞退だ。家業の町工場・株式会社IWAKURAを立て直すべく営業職として奔走し、経営が安定すると物足りなさを感じることに。そして現在は東大阪の町工場を活性化するため「こんねくと」を立ち上げたところだ。

「その『こんねくと』も投げ出すとなった時に、事業を引き継いでくれるのが起業パートナーの御園というわけです。御園には父親が町工場を経営していたという経歴もあり、東大阪の町工場を繋ぐ『こんねくと』にはぴったりの人材。いまのところ事業に不可欠な人物には見えないものの、『舞の後を継ぐ』という余人をもっては代えがたい役割を担うのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

ランプの試作を巡って町工場経営者と打ち合わせする舞と御園。トップ画像ともに©NHK

 舞がこれまでたどってきた経歴を振り返ると、人力飛行機のパイロットはサークルの先輩である由良冬子(吉谷彩子)が、女性パイロットは航空学校同期の矢野倫子(山崎紘菜)が引き継いだ形だ。そしてIWAKURAでは社長で母親のめぐみ(永作博美)が「私も営業を覚える」と、娘の後始末を母親が引き受けていたのである。

 その役目を「こんねくと」で果たすのが御園であることはほぼ確実。視聴者のほうも御園が初登場した時、まさか舞と一緒に会社を起業するとは思いもよらなかったはずだが、彼女には最初から重要なミッションが託されていたのである。

 思えば前作の「ちむどんどん」では、ヒロイン比嘉暢子が東京・杉並に開業した沖縄料理店を、料理長の矢作が引き継いでいた。どうやらヒロインの思い付きで始めた事業を誰かがキッチリ引き継ぐことは、周囲にいる人物の責務なのかもしれない。