渥美まで登場したのになぜ? そう訝る視聴者も少なくないようだ。
3月22日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第119回では、「空飛ぶクルマ」を開発している株式会社ABIKILUを浪花大学の渥美准教授(松尾鯉太郎)が訪問。週末に開発のお手伝いをすることになった。
そのABIKILUは浪花大学の人力飛行機サークル「なにわバードマン」のOBである刈谷(高杉真宙)と玉本(細川岳)が共同で設立。ヒロインの梅津舞(福原遥)は同サークルでの2年後輩であり、自分の1年先輩である渥美を連れてきた形だ。
舞は自分が経営する企画会社の株式会社こんねくとで、ABIKILUと提携。投資家を探すといった支援を行っている。だが今回、渥美が登場したことにより、かねてより視聴者が抱いていた疑問がさらに大きくなったというのである。
「舞は刈谷らの開発を支援し、サークル仲間の渥美も連れてきました。それならば東大阪市役所の安川龍平(駿河太郎)を真っ先に連れてくるべきでしょう。安川はなにわバードマンの『伝説の先輩』であり、しかもモノづくり支援室の職員ですから、ABIKILUの支援にはぴったりな人材のはずです」(テレビ誌ライター)
資金調達を求めている刈谷らにとって、市役所の援助は最初に考え付きそうなもの。もっとも刈谷は自動車メーカーの諸田自動車に勤めていたこともあり、行政による補助までは頭が回らなかったのかもしれない。
だからこそ、舞こそが安川を刈谷らに紹介すべきだろう。兄で投資家の岩倉悠人(横山裕)に相談した際、悠人は「ハードウェア開発への投資はハードルが高い」と指摘していた。それならばなおさらのこと、人力飛行機を開発していた安川は、相談相手として最初に思いつくべきではないだろうか。
渥美は出てくるのに安川は出てこない展開に、視聴者ももやもやを隠せないはず。どうにも不自然さが拭えない状況には、制作側の都合が見え隠れしているという。
「安川先輩が登場した第21週は桑原亮子氏が脚本を担当。それに対して今回の第25週では佃良太氏が担当しています。以前から本作では、脚本家が替わるたびに作風まで変わると揶揄されていましたが、よもや第21週での登場人物が存在まで忘れ去られているのであれば、複数の脚本家を起用している体制にこそ問題があると言わざるをえなそうです」(前出・テレビ誌ライター)
果たして今後、安川先輩の再登場はあるのか。たとえ市役所の支援が受けられなくても、自分の名刺に人力飛行機のイラストを刷るほどのこだわりを持つ安川先輩なら、渥美と同じように週末だけでも開発を手伝いたいはず。そんな「気持ち」をないがしろにする物語であってほしくないと、視聴者も思っていることだろう。