よもやこんなヒューマンドラマになっていたとは。8月18日に放送されたドラマ「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」(日本テレビ系)の第5話に、そんな感慨を覚えた視聴者も少なくなかったようだ。
第5話では認知症を患った老人男性とその妻が住む家に、主人公で警察官の川合麻依(永野芽郁)と藤聖子(戸田恵梨香)が訪れることに。ケアマネージャーからは施設入りを勧められるも妻は乗り気ではなく、結婚した娘に世話になるのも抵抗があるという。
「老人男性は麻依や聖子から街なかで声を掛けられても『なぜ私の名前を知っているんですか?』と訊ねる有様。認知症の家族がいた経験を持つ視聴者は、そういった場面に胸を締め付けられる思いだったことでしょう」(女性誌ライター)
そんな思いがクライマックスに達したのは、老夫婦が荷物も持たずに街道を歩いているところに、麻依と聖子が出くわした場面だった。夫が「新婚旅行先の温泉に行くんです」と嬉しそうに語るのに対し、妻はすぐにでもそこを立ち去りたい様子。
この場面に<ついに施設に入れることになったのかな>と思った視聴者もいたことだろう。だが真相はもっとツラいものだったのである。
「イケメン消防士と人生初のデートに臨む麻依。しかし前日までのウキウキ気分はどこかに消えさり、麻依の頭を支配していたのは老夫婦に対する心配でした。麻依は用事があるとウソをついてデートを抜け出し、老夫婦と出会った場所に急行するも、二人の姿はなし。慌てて老夫婦の自宅に向かうと、聖子が二人を連れて戻ってくるところだったのです。介護に疲れた妻は娘宛ての遺書を書いていたものの、聖子からの『誰かに頼ってもいいんですよ』との説得を受け入れることに。この場面に涙した視聴者も少なくなかったことでしょう」(前出・女性誌ライター)
老夫婦を救った聖子の機転に加え、視聴者の心を打ったのは麻依の一途な行動。人生初デートを投げだしてまで老夫婦を心配する姿に、視聴者も心を救われたに違いない。
この場面で永野が見せた演技には、わずかな心の揺らぎが大きく波を打ち、行動へと走らせる過程が余すことなく表現されていた。第6話以降も永野の演技にさらなる期待が高まることは確実だろう。