きっと安子はこれから、陽の当たる道を歩き始めるのだろう。そんな将来を予感させた回に視聴者も感動を覚えていたようだ。
12月10日に放送されたNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」の第30回にて、ジャズ喫茶店マスターの柳沢定一(世良公則)が、ジャズの定番曲「On the Sunny Side of the Street」を熱唱。その歌声にヒロインの安子(上白石萌音)が惹きこまれるシーンがあった。
進駐軍のローズウッド将校に連れられ、クリスマスパーティーの会場を訪れた安子。最初は戦勝国アメリカの豊かさを見せつけるのかと訝っていたが、出征した夫を失った安子と同様にアメリカ人にも戦争で家族を失った者は多いと将校は説明。亡くなった者たちが安らかに眠られるよう、聖なる夜に祈るために集まっていると教えられ、安子はパーティーの意味と目的を理解したようだった。
パーティーでは日本人のジャズバンドが演奏。すると定一が乱入し、自ら歌い出した。彼が歌った「On the Sunny Side of the Street」は、ジャズ界の巨匠であるルイ・アームストロングの演奏などで知られるスタンダードナンバー。安子の娘るいは、アームストロングの名前にちなんで亡夫の稔が命名したものであり、安子は同曲に聴き入りながら思わず落涙していたのである。
「元々はミュージカル楽曲の『On the Sunny Side of the Street』は様々なミュージシャンによって歌われていますが、今回は定一役の世良が明らかにルイ・アームストロングに寄せた歌声を披露。本作における同曲の位置づけを明確に示していました。その歌詞は“キミ”が陽の当たる場所を歩くことの大切さを教えてくれるというもの。亡夫の稔は世界を自由に行き来でき、どんな国の曲でも自由に歌える世界を夢見ていましたが、安子はクリスマスの夜にこの曲を聴いたことで、これから陽の当たる場所を歩んでいくことが、稔から託された希望だということを実感していたのではないでしょうか」(テレビ誌ライター)
ステージを観ながら目に涙を浮かべる安子。その演技に多くの視聴者が心を奪われていたようだ。一方で安子を演じる上白石は昼間の再放送が終わったタイミングでインスタグラムを更新。「カムカム、今週もありがとうございました」とのコメントを添え、岡山市を流れる旭川と岡山城が夕陽に照らされる画像を投稿していた。
「夕陽に川面が照らされる様子はまさに『サニーサイド』。彼女は今回の投稿にて、『カムカムエヴリバディ』で『On the Sunny Side of the Street』が歌われたことの大切さを伝えたかったのではないでしょうか。最近の投稿はほぼカムカム一色となっている上白石ですが、人物が写っていない投稿は2カ月ぶり。おそらく彼女自身、曲の持つ力を物語を通して実感しているのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
公式サイトの次週予告によると、12月13日からの第7週では安子の生活に大きな変化が表れる可能性が浮上。果たして彼女はサニーサイドを歩いていけるのか。視聴者も目を離せない日々が続きそうだ。