NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で描かれている昭和50年当時の時代描写が、視聴者の間で大きな話題を呼んでいるようだ。
2月3日放送の第66話では、ヒロインで小学四年生のひなた(新津ちせ)が空き瓶拾いに精を出すことに。時代劇好きのひなたは太秦映画村で行われる二代目桃山剣之介のサイン会を目指して、参加料金の1500円を貯めようとしていた。
「この場面に昭和を知る年代の視聴者は懐かしさを感じることに。ペットボトルが当たり前の現代からは想像もつきませんが、昭和のころはジュース類はもちろん1リットル入りの牛乳ですら瓶入りで売られており、空き瓶を販売店に返すと保証金を返金してもらえたのです。500ml瓶だと10円、1リットル以上の瓶だと30円というのが相場で、当時はコーラなども1リットル瓶で売られていましたから、空き瓶探しは子どもたちにとってちょっとしたお小遣い稼ぎになっていました」(昭和を知るベテランライター)
そんな商慣習に加えて、この回では「伊藤博文」や「岩倉具視」といった単語も登場。もちろん歴史上の有名人としてではなく、それぞれ1000円札と500円札の意味だ。サイン会資金を貯めているひなたは「あとはお年玉が伊藤博文やったら!」と期待感を高めるも、両親からもらえたのは500円札。「ああ、今年も岩倉具視やった」と残念がる場面に、昭和生まれの視聴者は感慨を覚えていたことだろう。
いずれにしても、現代の小学生にとっては実物など見たことのない代物であり、伊藤博文や岩倉具視と言われても何のことだか分からないはず。そういった事情は大人にも理解できるが、なんと今どきの小学生のなかには「カムカムエヴリバディ」に当たり前のように出てくるアイテムに関しても<見たことも聞いたこともない>という例が珍しくないというのである。
「本作の序盤ではラジオ英会話が重要なテーマの一つで、物語の随所にラジオが出てきます。ひなた編でも『荒物屋あかにし』のご主人がトランジスターラジオでニュースを聴いている場面がありましたが、現在の小学生には『ラジオって何?』という子も珍しくないのです。そもそも最近の家庭にはラジオ受信機そのものがありませんし、なかにはラジオと言えば『Spotify Radio』など音楽配信サービスの一つだと思っている例も。ラジオという名詞は知っている子どもでも、『ラジオって何か勝手にしゃべってるヤツでしょ?』という認識のようです」(女性誌ライター)
スマホで当たり前のように音楽を聴くようになった令和の現在では、カーステレオでラジオを聴くケースも激減している。どうやら今どきの小学生にとってラジオとは、自分たちと関係ない世界のアイテムと化しているようだ。
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