どうやら制作スタッフの「聖飢魔II」愛は健在だったようだ。
2月4日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第67話にて、約3週間ぶりにヘヴィメタルバンド・聖飢魔IIを連想させるアイテムが登場したという。
この回では英語教室に行きたいというヒロイン大月ひなた(新津ちせ)のため、父親の錠一郎(オダギリジョー)が商店街の福引に挑戦。1等の熱海旅行をお金に換えようという作戦だ。ズボラな性格の錠一郎らしい発想だが、ひょんなことから10回分の福引券をゲットした二人は、祈りを込めて福引を引き続けた。
しかし思いもむなしく9回連続でハズレを引くと、そこに「待ちぃ! あたしが引く」と、母親るい(深津絵里)がさっそうと登場。いざ彼女が引いた福引はなんと、当たりだったのである。
「当たりとはいっても熱海旅行ではなく3等のラジオ。しかも商店会長を務める荒物屋あかにしの倉庫に眠っていたであろう、古いラジオのようです。錠一郎は『これは質屋に持ってってもお金にならへんな』と諦め顔でしたが、るいはラジオから聴こえてくる楽曲になにかを思い出していた様子。この場面でラジオそのものに視聴者の注目が集まっていました」(テレビ誌ライター)
そのラジオには左下に「FIRE AFTER」、そして右側にも「FIRE」という銘板が。これと同様の銘板は、1月までの「るい編」でるいが勤めていたクリーニング店に置かれたラジオにもハメこまれていた。また1月11日放送の第49回では若き日のるいがレコードプレーヤーを買いに行くが、高すぎて買えなかったそのプレーヤーにも「FIRE AFTER FI」と読める銘板がハメこまれていたものだ。
「視聴者からは、その銘板がデーモン閣下率いる聖飢魔IIのヒット曲『FIRE AFTER FIRE』へのオマージュではないかという声が続出。しかも同じドラマで3回にもわたって登場したことから、制作側が相当なこだわりを持っていることも示された形です。聖飢魔IIのファンからは《小道具担当の方、ありがとう!》と感謝の声もあがっていました。その一方で、今回のラジオに関しては別の疑問も寄せられていたのです」(前出・テレビ誌ライター)
それはラジオの下にハメこまれた「AYAKAWA ELECTRIC CO., LTD.」というメーカー名だ。というのも聖飢魔IIに綾川という名前のメンバーはおらず、「FIRE AFTER FIRE」に関しても作詞はデーモン閣下、作曲はギターのジェイル大橋が担当。そのため視聴者に<綾川って誰?>との疑問が生じるのも無理からぬところだろう。
「結論から言うと、この綾川は聖飢魔IIとは無関係です。レトロ家電好きならすぐに気づいたはずですが、これは『早川』(HAYAKAWA)をもじったもの。このラジオはおそらく早川電機(現・シャープ)の製品を模して作ったのでしょう。その早川電機は昭和45年に社名をシャープに変更。昭和32年にはすでにトランジスターラジオを発売していたので、昭和51年が舞台の『カムカムエヴリバディ』でも“早川電機製”の真空管ラジオはすでに骨董品の部類となっていました」(前出・テレビ誌ライター)
そのラジオから流れてきた曲を聴いて、思わず母・安子のことを思い出したるい。安子編やるい編で重要な役目を担ってきたラジオはこのひなた編でも、物語に不可欠なアイテムとなっているようだ。