21年の時を経て、母と娘は同じ作品で映画デートしていた!
2月24日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第81話では、ヒロインの大月ひなた(川栄李奈)と大部屋俳優の五十嵐(本郷奏多)が、二人で映画を観に行くシーンが描かれた。
はたから見ると映画デートのようだが、さにあらず。リバイバル上映されている映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」のチケットを2枚持っているひなたに五十嵐が土下座をしてまで1枚譲ってもらい、成り行きで二人一緒に観に行ったものだ。
同映画には五十嵐の大先輩である大部屋俳優の伴虚無蔵が、主演・初代桃山剣之助の敵役として出演。このほど二代目剣之助の主演で同作がリメイクされることになり、敵役のオーディションに挑戦する五十嵐は虚無蔵の殺陣を見て勉強するために、ひなたに土下座したのだった。
「その映画はひなたの両親であるるい(深津絵里)と錠一郎(オダギリジョー)が、1月17日放送の第53回にて初めて映画デートした時に観た作品でもあります。それゆえ21年後の今回、ひなたと五十嵐が同じ作品を観ている姿からは、この二人がくっつく予感を抱いた視聴者も多かったはず。そんな母娘の映画鑑賞を巡っては、いくつもの対比がありました」(テレビ誌ライター)
共通点としてはまず、両者とも「もらったチケット」で映画を鑑賞していたことが挙げられる。るいは町内会長を務める映画館の館主からチケットをもらい、ひなたは振付師のサンタ黒須(実は祖母・安子の兄にあたる橘算太)からもらっていたのだ。
次に、映画館はいずれもガラガラで、席の並びは女性が男性の右隣に座る形に。そして映画を観た後には二人一緒に女性の家へと戻っていた。その帰り道を見れば、ひなたも母親のるいと同様に、映画デートの相手と結婚するのではないかと予感させたことだろう。
「その一方で母娘の映画デートには異なる点もあります。るいのお相手は同郷の岡山出身で、対するひなたのお相手は東京出身。そして決定的に違うのは母親のるいがすでに錠一郎と交際中だったのに対して、娘のひなたは五十嵐と付き合うどころかむしろ敬遠しているということです。」(前出・テレビ誌ライター)
もう一つの大きな違いは、映画を観た後の男性側の態度だ。錠一郎は来たるべきトランぺッターコンテストに向けて「勝つよ。サッチモちゃん(るい)のために、戦うよ」と覚悟を決めていた。それに対して五十嵐は作中で虚無蔵が見せた殺陣に圧倒されてしまい、「俺できるようになんのかな、あんな凄い殺陣。オーディションまでどんなに稽古したってあんなレベルには…」と、弱気を発動していたのである。
相手の態度を母親のるいはただ黙って聞き、一方で娘のひなたは「何言うてんの、受ける前からビビッてどうすんの? …がんばり」と応援していた。そんな母と娘は対極の姿に見えるのではないだろうか。
「たしかにパッと見は正反対に見える二人ですが、男性の想いを真正面から受け止めているという意味では一緒なのではないでしょうか。母親のるいはその後にトランペットを吹けなくなった錠一郎をサポートし、家族を支え続ける強い女性の姿を見せました。そして21年の時を経て母親と同じように映画デートした娘のひなたもきっと、母と同じように強い女性となるのでしょう」(前出・テレビ誌ライター)
果たしてひなたと五十嵐が男女交際に発展するのかは不明だが、ひなたが母るいのように強くなっていく姿を見せていく可能性は高そうだ。