美咲すみれ（安達祐実）が語った「条映の中じゃ有名な話」に、その理由が隠されていたのかもしれない。
2月23日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第80回では、人気時代劇俳優のモモケンこと二代目桃山剣之介が、父である初代モモケンの遺作「妖術七変化！隠れ里の決闘」を自らの主演で再映画化することが明らかになった。
その映画で主役・棗黍之丞の敵役である小野寺左近を演じていたのは、大部屋俳優から抜てきされた伴虚無蔵。リメイク作では左近役に虚無蔵を起用せず、新たにオーディションで選ぶことが二代目モモケン自身の口から発表された。その裏には、モモケン親子の確執があったという。
「二代目モモケンとドラマ版『棗黍之丞』で共演していた美咲は、ヒロインで映画村職員の大月ひなた（川栄李奈）に蕎麦屋で愚痴をこぼしていました。そこで美咲は条映では有名な話として、映画『隠れ里の決闘』はもともと初代モモケンと二代目の親子共演で企画されていたと説明。しかしすでにテレビでスターになっていた二代目はその企画を拒否し、初代はあてつけのように大部屋俳優だった虚無蔵を抜てきしたというのです」（テレビ誌ライター）
だが映画は駄作と言われる大失敗に。初代は失意のうちに亡くなり、虚無蔵は大部屋俳優に逆戻りしていた。
そして今回、左近役のオーディションを自らの口から発表した二代目モモケンは、条映撮影所の稽古場に虚無蔵を訪れ、「虚無さん、悪く思わないでくださいね。このたびのオーディション」と言い放ったのである。
自ら虚無蔵のもとに足を運んだ二代目モモケン。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター（@asadora_bk_nhk）より。
そんな二代目モモケンに対して「わしも受けますわ。左近役のオーディション」と返した虚無蔵。すわ、初代に恩義のある虚無蔵の意趣返しかと思われた場面だったが、そんな二代目モモケンと虚無蔵のあいだにはなんとも複雑な感情が見え隠れしていたというのだ。
「二代目モモケンは虚無蔵のことを軽んじているように見えます。しかし実は、虚無蔵に対して大きなリスペクトを抱いているのかもしれないのです。それが示されたのは前日の第79回でちらっと映った二代目モモケンのメイクシーン。CM撮影に臨む彼は、右頬に自分でホクロを描き足していました。しかし初代にホクロはなく、父親へのオマージュを表すものではありません。では何のためにわざわざホクロを描き足すのか。実は右頬のホクロこそ伴虚無蔵へのリスペクトだというのです」（前出・テレビ誌ライター）
ヒロインひなたの家に貼られているポスターでは、初代モモケンにホクロがなかったことが分かる。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター（@asadora_bk_nhk）より。
虚無蔵を演じる松重豊にはもともと右頬に目立つホクロがあり、それがトレードマークの一つとなっている。作中の虚無蔵もやはりホクロの持ち主だが、二代目モモケンは同じ場所にホクロを描いているのである。
第80話の終盤、条映撮影所の稽古場で対峙した二代目モモケンと虚無蔵。二人の顔が同じようにアップになると、普段の二代目モモケンにはホクロがないことが改めて示される形となっていた。
「そもそも条映のスターである二代目モモケンがわざわざ大部屋俳優のもとに自ら足を運ぶのもおかしな話。前作の敵役に筋を通すのであれば、監督など制作陣と一緒に来るはずです。それをわざわざ一人で来たということは、二代目モモケン自身が虚無蔵にリスペクトを抱いていることを示したかったからではないでしょうか」（前出・テレビ誌ライター）
右頬にホクロを持つ伴虚無蔵。演じる松重豊もホクロがトレードマークだ。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式ツイッター（@asadora_bk_nhk）より。
果たしてオーディションで左近役を勝ち取るのは誰なのか。虚無蔵が勝っても負けても、その結果は大きな意味を持ってくることになりそうだ。
