一枚の写真が、様々な過去を呼び起こすことになりそうだ。
6月8日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第43回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)がおでん屋台の立て直しに奮闘するも、なかなか結果を出せない様子が描かれた。
東京・銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」で働く暢子は、オーナーの大城房子(原田美枝子)から、横浜・鶴見のおでん屋台を一週間で黒字化するというミッションを与えられていた。暢子はイタリア風おでんというアイデアで勝負し、最初は物珍しがられるもののリピーターは獲得できず、屋台は日に日に閑古鳥が鳴くことに。
友人で新聞記者の青柳和彦(宮沢氷魚)からは「もっと地味で新鮮味がなくても大切なことがきっとあるはずだよ。そういう料理を暢子は志すべきだ」とアドバイスされるも、ムキになった暢子は「和彦くんに料理の何が分かるの?」と反発。数少ない味方にまでそっぽを向かれてしまったのだった。
「前回の放送では大城オーナーが暢子の大叔母であることが判明。それを知った暢子は、親戚である自分に対する愛のムチとして、おでん屋台の立て直しを命じたのだと好意的に解釈していました。しかし結果が出ないことから次第にイライラが募り、今回はオーナーへの不満が爆発。心配で様子を見に来てくれた沖縄県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)を前に、オーナーが自分で屋台をやってみればいいと反発したうえで『ただの意地悪にしか思えん!』と逆ギレしていたのです」(テレビ誌ライター)
そんな暢子をおでん屋台店主の安孫子ヨシ(大島蓉子)は「いい加減にしな!」と一喝。三郎は大城オーナーもかつては屋台から身を興したと説明し、暢子を驚かせていた。
すると場面は銀座のフォンターナへと移り、大城オーナーは一枚の写真を感慨深そうに眺めていた。その写真に、今後の展開を示唆する人物が写っていたのである。
「写真には二人の女性が写っており、右側にいるかっぽう着姿の女性は若かりしころの大城オーナー(桜井ユキ)のようです。問題は左側の女学生。大城オーナーは夫も子供もいないはずですし、娘ということはありえなさそう。そうなると一枚の写真に納まるほど近しい人物は誰なのか、ということになります」(前出・テレビ誌ライター)
ここであらためて思い出したいのが、大城オーナーと暢子の関係だ。大城オーナーは暢子の亡き父親である賢三(大森南朋)の叔母であり、賢三が亡くなった時には当時小五の暢子を引き取って育てようとしていた。
「そうなると、この女学生は大城オーナーの妹であり、賢三の母親なのではないでしょうか。暢子から見れば、会ったことのない祖母ということになります。写真では大城オーナーの背後に屋台が写っており、彼女は屋台を引きながら妹を育てていたのかもしれません。なお暢子は昭和29年生まれなので、父親の賢三は昭和ひと桁生まれのはず。そうなるとこの写真は大正末期から昭和初頭あたりに撮影されたのかもしれません」(前出・テレビ誌ライター)
この写真をきっかけに、暢子の祖母がどんな人だったのか、そして賢三の若かりしころにも話が発展する可能性がありそうだ。そんな暢子のルーツにこそ、これから彼女が料理人としてどんな方向を目指すべきかのヒントが隠されているのかもしれない。