そのトーク力はどうやら、生まれ持った才能だったようだ。
昨年末の「第73回NHK紅白歌合戦」にて初の司会を務めた橋本環奈が大絶賛されている。一緒に司会を務めた大泉洋が脱線気味になってもまったく動ずることなく、終始安定したトークでスムーズな進行を促していた。
ふだんは愛くるしい表情と裏腹のハスキーボイスをイジられがちな橋本だが、紅白ではその声質がむしろ、浮ついた感を抱かせないプラス方向に作用。それでいて特別企画の「ディズニースペシャルメドレー」では大泉と共に見事な歌を披露し、まさに八面六臂の活躍だったのである。
「女優としては演技力が高く評価され、映画に引っ張りだこの橋本。とはいえ映像作品と生放送の音楽番組では勝手が異なるものです。紅白歌合戦では広瀬すずや有村架純、堀北真希といった若手女優が司会を務めてきましたが、視聴者はハラハラしながら見守ってきたもの。それが今回の橋本に関しては、彼女の司会者ぶりがあまりにもしっくりくるため、若手女優であることを意識せずに観ていた視聴者も多かったのではないでしょうか」（芸能ライター）
まだ23歳の橋本がなぜ、これほど安定した司会を務められたのか。小学生の時から地元の福岡でアイドルをやっていたこともあり、一般的な女優に比べると生ステージに慣れている面はありそうだ。
そんな橋本に関して、10年前には早くも見事な司会者ぶりを発揮していたとの声もあるという。彼女の名前が世間に知られるようになったのは、2013年11月にネット上で広まった「奇跡の一枚」がキッカケだったことは広く知られるところ。それより前の時点ですでに彼女は司会者として有能なところを見せていたのである。
「橋本は2012年11月18日に東京・渋谷で開催された対バンイベントの『第3回アイドル横丁祭!!』に出演。所属グループ『Rev. from DVL』の一員としてではなく、彼女一人でイベントのMCを務めたのです。東京ではほとんど無名な存在でしたが、その司会ぶりは中2とは思えないほどスムーズで、勃興期のアイドル戦国時代では抜きんでた存在感を示していました。同イベントはニコニコ生放送で生中継されており、翌年に橋本が『奇跡の一枚』で話題になると、1年越しで再放送されることに。多くのアイドルファンがその再放送で、彼女の見事なトーク力をあらためて目撃することになりました」（アイドル誌ライター）
出演グループの写真が並ぶ「第3回アイドル横丁祭!!」のポスターに、橋本はMCとして単独で掲載されていた。
その時の会場は、代々木第一体育館の裏手にあった「SHIBUYA-AX」（2014年に閉場）。1700人収容という巨大なライブハウスで、普通の中学生だったらその規模に気圧されるところだろう。それが橋本は今回の紅白と同様、実に楽しそうな様子でMCを務めていたのだった。
そこから約10年が経ち、共演相手はライブアイドルから大物アーティストへと替わったものの、司会をエンジョイしている姿に変わりはないようだ。
