さすがにその行動は、謎過ぎて無理! そんな呆れ声が各所からあがっていたようだ。
1月31日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第83回では、看護師の久留美(山下美月)が婚約相手の母親から婚約破棄を言い渡される場面があった。そこで交わされた会話に無理があり過ぎたという。
久留美は前回、婚約者で医師の八神(中川大輔)をヒロインの岩倉舞(福原遥)や幼馴染の貴司(赤楚衛二)らに紹介。今回はいよいよ両家の顔合わせという大一番だ。ところがその場所はなんと、久留美が学生時代にアルバイトしていたラグビーカフェの「ノーサイド」。いくらなんでもおめでたい場にはふさわしくないようだが…。
「久留美の父・佳晴(松尾諭)は怪我が原因でラグビー選手を引退してから定職に就くこともなく、娘の久留美にも迷惑をかけっぱなし。しかし今回は久留美の縁談ということもあり、精いっぱい自分を大きく見せようとしていました。八神家からは料亭での食事会を提案されたものの、それでは緊張して何もしゃべれなくなるという佳晴は、自分のホームであるラグビーに関係する場所を選ぶことで、精神的優位に立とうとしていたのです」(テレビ誌ライター)
なんだか分かるような分からないような妙な理屈だが、ともあれ視聴者にとってもおなじみのノーサイドが今回、顔合わせの場としてセッティングされた。しかし店にやってきたのは八神の母親・圭子(羽野晶紀)だけ。なんと圭子は「蓮太郎とあなたの婚約はなかったことにしていただきます」と告げに来たのであった。
佳晴が定職に就いていないことを指摘しつつ、「そのようなご家庭の女性とうちの息子と結婚させることはできひんのです」と言い切った圭子。しまいには「今後一切、息子と関わらんといてくださいませね」とまで告げていた。とは言えここまでは、視聴者としても容易に予想できた話。<やはり佳晴がネックだったか>と、久留美に同情した人も少なくなかったことだろう。
ところがここからの展開が酷かった。土下座した佳晴はなんと、帰ろうとする圭子の脚にタックル。華美な訪問着に顔をこすりつけるという暴挙に出たのである。そんな真似をされたら圭子が激怒するのは当然。もはや婚約破談は後戻りできないところまで進んでしまったのだった。
とはいえ、このくだりをノーサイドでやる必要があったのか。料亭で待つ久留美と佳晴のもとに、圭子が一人でやってくる展開でも何ら不自然ではなかったはずだ。
ノーサイドでなら緊張することなく、ラグビーを話題にできると言い訳していたが、当の佳晴はそのラグビーすら捨て去っていたはず。その証拠に11月11日放送の第30回では、警備員の仕事を辞めた佳晴を久留美が「ドーベルマン、どこ行ったんよ!」となじるも、そのままふて寝を決め込んでいたではないか。
「視聴者からは両家顔合わせの場がノーサイドだったことについて《料亭のセットを作る金をケチったのでは?》との指摘も。今回の無理矢理な展開を見れば、その疑念もあながち的外れとは思えません。ドラマでは制作側の都合により、登場人物がやたらと同じ店に出入りするのはよくあること。本作でもヒロインの舞が兄で投資家の悠人(横山裕)に会う時、やたらとノーサイドを指定していますからね。とはいえこれほどの晴れの場にノーサイドを選ぶのはやはり、視聴者としても納得のいかないところです」(前出・テレビ誌ライター)
果たして久留美は新たな恋人を見つけることができるのか。その時にはぜひノーサイドではなく、料亭で両家顔合わせをしていただきたいものだ。