よもや物語はさらに20~30年後にまで続くのだろうか?
3月30日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第125回では、物語の舞台が現実を超えた2027年1月に突入。株式会社ABIKILUの開発した空飛ぶクルマの「かささぎ」が、長崎・五島にて実運用を開始しようとする場面が描かれた。
この回で視聴者を喜ばせたのは、ヒロイン舞(福原遥)の小学生時代を演じた浅田芭路が、10月21日放送の第15回から実に110回ぶりに再登場を果たしたこと。1994年から33年後の世界で浅田は、舞の娘である歩を演じていた。
「浅田の再登場には視聴者からも期待の声があがっていましたが、一方で驚かされたのは幼いころの浦一太を演じた野原壱太も、一太の息子・進として再登場したこと。本作では舞が小3だった『五島編』の評判が良かったことから、浅田と野原の再登場に視聴者もほっこりしていました」(テレビ誌ライター)
浅田と野原が演じる歩と進。二人の名前を合わせると「進歩」となり、将来に向けてさらに発展していく様子を感じさせる。歩は「私もな、将来パイロットになんねん。宇宙船のパイロット」との夢を語り、進は「ばえー、すごかぁ!」と感心。歩が「ふふふ、やろ?」と語る口調は母親の舞にそっくりだ。
母親の舞はかつてパイロットを目指し、いまは五島の島々を結ぶ空飛ぶクルマのパイロットに。娘の歩は宇宙飛行士を目指すとなると、将来はJAXAに入るつもりだろうか。
実際、本作ではJAXAも制作協力にクレジットされており、それこそ最終回には宇宙船を操縦する歩が登場してもおかしくなさそうだ。しかもその予兆となる伏線が作中で張られていたというのである。
「3月20日放送の第117回では、舞の祖母・祥子(高畑淳子)が古書店のデラシネを訪問。五島の風景を写した写真集に魅入られていました。その場面でデラシネの本棚には『宇宙船』とのタイトルが入った雑誌が。それは実在する特撮専門誌だったのです」(前出・テレビ誌ライター)
宇宙船は1980年に朝日ソノラマが創刊し、2008年からはホビージャパンが季刊誌として刊行。SFや特撮好きにはおなじみの雑誌だが、歌人の貴司(赤楚衛二)が営むデラシネには似つかわしくないようにも思える。
だが今回、歩が将来の夢として“宇宙船のパイロット”を語ったことで、第117回に雑誌「宇宙船」が映り込んでいたことが伏線だったことが判明する形となった。果たして最終回では歩が成長して宇宙船を操縦する場面を見ることができるのか。
思えば第1回では旅客機を操縦する舞が「これは38万km離れた月へたった15日でたどり着けるほどのスピードです」と、わざわざ月旅行をたとえに出す場面もあった。これで歩が月に飛ぶのであれば、第1回の伏線も回収することになりそうだ。