【ちむどんどん】暢子の下宿先にタブーあり!制作陣は和室の常識を知らなかった?

 さすがにこれは…その部屋に呆れた視聴者もいたようだ。

 5月19日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第29回では、上京2日目のヒロイン比嘉暢子(黒島結菜)が自分の部屋を手に入れる場面が描かれた。

 上京初日は当てにしていた長男の賢秀(竜星涼)が行方知れずになっていることを知り、途方に暮れた暢子。だがリトル・オキナワと呼ばれる横浜の鶴見で沖縄県人会会長の平良三郎(片岡鶴太郎)と知り合い、その日は三郎の家に泊めてもらっていた。

 翌日は三郎が紹介状を書いてくれた銀座のイタリア料理店「アッラ・フォンターナ」にて、採用試験を受けることに。亡き父親から教わった沖縄そばを作って、見事採用が決まった暢子は、鶴見に戻って合格したことを報告したのであった。

「三郎は暢子を沖縄料理店の『あまゆ』に案内。そこには《貸間あり》との張り紙があり、二階が下宿になっていました。すでに店主の金城順次(志ぃさー)と娘のトミ(しるさ)には三郎が保証人になるとの話が付いており、暢子はあまゆの仕事を手伝う代わりに賃料を安くしてもらえたのです」(テレビ誌ライター)

 さっそくトミに案内された暢子は、「ゴーヤ」と名付けられた部屋に通された。そこは入口の扉を開けたところが板張りになっており、奥は四畳半。押し入れは一間あるようで、古いながらもすぐに使える布団が用意されていた。夕方ながら腰高窓の外には遮る建物もなく、日当たりは良好だ。

 トミは「驚いたでしょう。あんまり狭くて汚いから」と恐縮していたが、暢子は「初めてです、自分だけの部屋♪」と大喜び。沖縄の自宅は平屋だったので二階からの景色も物珍しいらしく、窓から外を見まわしては嬉しそうな笑顔を見せていた。

金城親子が営む「あまゆ」の2階に暢子は下宿することとなった。トップ画像ともに©NHK。

 三郎など沖縄県人会の繋がりで、良い出だしを切ることができた暢子の上京生活。そんな幸せな場面に一つ、NHKらしからぬミスがあったというのだ。

「それは暢子の部屋に敷いてある畳です。というのも四畳半のうち3枚の畳が、窓に向かって並行に並んでいましたからね。これだと半畳のところで畳の角が十字になってしまいます。これは『不祝儀敷き』と呼ばれ、葬儀など縁起の悪いときの敷き方。一般家庭では禁忌(タブー)とされており、十字のところで畳が傷みやすくなるという弊害もあるのです」(女性誌ライター)

 この不祝儀敷き、その名称はともかく、畳をそう並べていけないことは常識の範疇だ。ただしマンション住まいなど畳での生活を経験していない場合、知らない若者もいるのかもしれない。

 とは言え朝ドラの制作陣には中高年層のスタッフも少なくないはず。そもそも部屋のセットを組む時に、畳の敷き方は基本中の基本のはずだ。

「沖縄ではイグサの代わりにシチトウ(リュウキュウイ)で編んだ琉球畳がポピュラー。その琉球畳は正方形の半畳が基本なので、並べ方に不祝儀敷きの概念はありません。だからと言って、鶴見に長年住んでいるはずの沖縄出身者が不祝儀敷きを知らないというのもおかしな話。これが単なる制作陣のミスなのであれば、気が付いた時点で並べ直してもらいたいものです」(前出・女性誌ライター)

 そもそも暢子はいまのところ、ずっと島ぞうりを履いており、靴を持っているかどうかも定かではない。しかしイタリア料理店に勤めるからには衛生面でも靴と靴下はマストだ。「ウチナンチュー=島ぞうり」という安易な図式が続かないことを、視聴者は願っていることだろう。