【六本木クラス】新木優子が9月に受験?納得できないシーンが続出するワケとは

 7月7日にスタートしたドラマ「六本木クラス」(テレビ朝日系)。Netflixで配信され日本でも大ブームを引き起こした韓流ドラマ「梨泰院クラス」のジャパンオリジナル版として、話題の作品となっている。

 その話題性から「梨泰院クラス」を観たことがない人たちも惹きつけていた今回、視聴者のあいだからは<納得できないシーンばかり><意味が分からない>といった疑問の声が続出しているという。

「第1話を観る限り、本作は『梨泰院クラス』をかなり忠実にトレースしています。つまり本作に感じる違和感の多くは原作の『梨泰院クラス』に端を発していると言えるでしょう。実際、日本のドラマとしてはどうにも納得できない場面も多いのですが、それは韓国の社会や文化を下敷きにしている以上、しょうがない部分でもあります」(韓流ドラマ好きの映画ライター)

 それではどんな場面が不自然で、そこにはどんな理由があるのか。いくつか例を挙げてみたい。

■優香が9月に大学を受験していた?

 第1話の序盤では「2006年 秋」と時期が示され、宮部家のマンションにも9月のカレンダーが貼られていた。それなのになぜヒロインの楠木優香(新木優子)は大学受験に臨んでいたのだろうか。

第1話では優香の高校に主人公の新が転校してきた。©テレビ朝日

 日本以上に大学受験が熾烈だと言われる韓国では、遅刻しそうな受験生をパトカーが送ったというエピソードも有名だ。ただ修能試験(日本のセンター試験に相当)は毎年11月に行われており、カレンダーが示した9月とはズレている。

 作中では彼女が「面接」を受けていたことが示されており、今回の受験は推薦入学など一般受験以外の枠だったと思われる。<韓国で推薦入学?>とピンとこない視聴者も多いかもしれないが、韓国では推薦入学などにあたる「随時募集」のほうが枠が大きく、その割合は全大学の平均で実に76.2%(2019年)にも及ぶという。

 一方で「定時」と呼ばれる一般受験の割合は20%台に過ぎず、これは国立のソウル大学や私立の名門である延世大学でも同じこと。もう一方の名門とされる高麗大学では定時の割合が15%ほどしかないのである。

 それゆえ韓国の視聴者には、優香に相当するオ・スア(クォン・ナラ)が推薦入学を受けていたのはごく当たり前の光景。それを忠実にトレースした「六本木クラス」でもやはり、優香は推薦入学試験を受けていたということだろう。

■早乙女太一がやりたい放題な不思議

 この「六本木クラス」では、長屋龍河(早乙女太一)のやりたい放題に呆れた視聴者も多かったはず。高校では校長すら手を出せないほど傍若無人に暴れまくり、ひき逃げ事故で主人公・宮部新(竹内涼真)の父親である信二(光石研)を死なせてしまっても、代わりの人物が出頭することで彼は罪を逃れていた。

 一体どんな世界線の話だと驚くばかりだが、そんな人物設定も舞台が韓国ならすんなり受け入れられるというのである。

 龍河の父親は、日本最大の外食企業である長屋ホールディングスの創業者にして会長として君臨する長屋茂(香川照之)。だからといってその息子が王様のようにふるまう姿には違和感を感じるが、これが韓国となると話が違ってくる。韓国では経済の8割が数々の財閥によって占められており、大手財閥は政界とも癒着。その影響力は日本では考えられないほどに強大だ。

 それゆえ、龍河のひき逃げ事件がまともに捜査されず、長屋ホールディングスの仕立て上げた庭師が真犯人とされるという展開も、韓流ドラマであれば視聴者もすんなりと受け入れられるのだという。どうやら捜査に及び腰の警察も、長屋茂の威光には逆らえないようだ。

■冒頭で平手友梨奈が踊りまくっていたのはなぜか

 本作にはヒロインが二人おり、一人は第1話でも出ずっぱりだった楠木優香(新木優子)。そしてもう一人が麻宮葵(平手友梨奈)だ。第1話の冒頭では葵がクラブで踊りまくっている姿が描かれたが、その後は一度も登場せず、話の流れ的にどう繋がってくるかが不明瞭だった。

 その葵、「梨泰院クラス」ではチョ・イソ(キム・ダミ)にあたる役で、本格的な出番は第3話から。ただ原作でも「六本木クラス」と同様に第1話の冒頭に登場しており、そちらはカウンセリングを受けている場面だった。日本版では場所の設定だけ変えつつ、葵を物語の冒頭に登場させることで、原作の演出をなぞっていたものと思われる。

第1話の冒頭で「二代目みやべ」の名刺を出していた麻宮葵(平手友梨奈)。どうやら少し先の話を描いていたようだ。©テレビ朝日

※トップ画像は新木優子公式インスタグラム(@yuuuuukko_)より。