【舞いあがれ!】会社の借金をあっさり完済…まるで「ちむどんどん」と視聴者も呆れ顔!

 どうせ誰かが返してくれる。なぜか朝ドラではそういうことになってしまったようだ。

 1月20日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第76回では、ヒロイン岩倉舞(福原遥)の実家である部品工場の株式会社IWAKURAが信用金庫からの借金を完済。次週予告ではあっという間に4年が経ち、航空機産業に乗り出そうとする姿が描かれた。

 どうやら次週からは新たな展開が始まるようだが、この第76回で描かれた強引すぎる解決策に、視聴者からは「まるで『ちむどんどん』さながら」との呆れ声もあがっているようだ。

 前社長で父親の浩太(高橋克典)は生前、業務拡大のため3億円を借り入れ、新工場を建設。従業員も20名以上に増えるなど、IWAKURAは大きく成長していた。しかしリーマンショックの影響が直撃したうえ、浩太は心筋梗塞で急逝。妻・めぐみ(永作博美)が社長業を継いだものの、もはや当座の運転資金に浩太の生命保険を取り崩すほどの危機的な状況に陥っていた。

「長男で投資家の悠人(横山裕)は実家の工場経営に否定的で、会社を清算してマンション経営することをめぐみに提案しました。一度は断るも、一計を案じためぐみは悠人に工場や土地を買ってもらい、その代金で借金を清算するとのプランを提案。悠人もその話に乗り、IWAKURAは危機的な状況を脱したのです」(テレビ誌ライター)

 ただ、普通に売却しただけでは借金を清算できるはずもなく、おそらく悠人は相当な額を家族のために持ち出しているはず。そこをあえて描くことなく、借金がきれいさっぱりとなくなった物語には、どうしてもリアリティが欠けるというものだろう。

 そのリアリティ欠如こそ、朝ドラ史上最悪の問題作と呼ばれた前作の「ちむどんどん」と、ある意味でそっくりだったのである。

「『ちむどんどん』ではヒロイン比嘉暢子の実家である沖縄の比嘉家で、父親の賢三が急逝。サトウキビ畑を買った際の借金だけが残り、残った家族を苦しめていました。さらにはドラ息子の長男・賢秀が他人の金を持ち逃げしたり、マルチ商法にダマされるなどして、さらに実家の借金を増やすことに。ところが作中では比嘉家がどうしようもなく困窮している様子もなく、最終的には借金もいつの間にか完済されていたのです」(前出・テレビ誌ライター)

荒唐無稽なストーリーのせいでいわれなき批判を浴びることになった比嘉暢子役の黒島結菜。

 比嘉家が貧乏に苦しんでいたのは、ヒロインの暢子がまだ小学生だった時だけ。当時は体操服1枚買うのも大変だったが、その後は首が回らなくなるような場面が描かれることはなかった。それどころか当時はぜいたく品だった電話を自宅に引くなど、むしろ生活には余裕がある様子だったのである。

 それゆえ視聴者からは何度となく<借金はどうなった?>と疑問の声があがることに。しかし借金問題について具体的な説明があるわけでもなく、いつの間にか比嘉家は窮乏状態を脱していたのだった。

「今作の『舞いあがれ!』でも、会社の存亡が懸かっていたはずの借金問題は悠人による投資であっさり解決。『ちむどんどん』とは長男がろくでなしではなく、優秀な投資家という違いはあるものの、借金そのものが実は大した問題でなかったことは一緒でしたね」(前出・テレビ誌ライター)

 果たして借金を完済したIWAKURAは今後、ますます業務を拡大していくのか。まだ2カ月間も放送期間を残していることから、またもや新たなトラブルが発生しなければいいのだが…。

※トップ画像は©NHK