【舞いあがれ!】舞の無鉄砲さは暢子レベル?「雲をつかむような話」の航空機部品参入を強引に認めさせた!

 想いの強ささえあれば、何でも突破できてしまうようだ。

 1月25日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第79回では、ヒロインの岩倉舞(福原遥)が航空機部品への参入を巡って、株式会社IWAKURAの従業員たちを説得する様子が描かれた。そんな舞の振る舞いに、前作「ちむどんどん」のヒロインだった比嘉暢子を重ね合わせる視聴者も少なくなかったという。

 舞は前回、セミナーで菱崎重工の荒金(鶴見辰吾)と知り合うことに。今回、荒金がIWAKURAに足を運び、新型の航空機用エンジンに使うボルトの試作を依頼してきた。しかしIWAKURAは航空機用の部品を作った経験がないうえ、試作するボルトは図面を見ただけでも要求レベルが高いのは明らか。寸法指定では8.382ミリなど1000分の1ミリ単位での精度を求められており、それまで作ってきた部品とは文字通りに桁違いだ。

「舞と社長のめぐみ(永作博美)はベテランの職人を集めて、ボルトの試作について相談。その反応は芳しいものではありませんでした。最古参の笠巻(古舘寛治)は『正直なとこ、難しいと思う』とバッサリ。設計を得意とする結城(葵揚)もどんな機械が必要なのか、何をどこに頼めばいいのかもピンとこないと語る有様だったのです」(テレビ誌ライター)

 新素材のニッケル基合金については、IWAKURAにある機械で加工するのは難しいとの意見も。結論として笠巻は「雲をつかむような話や。難しすぎる」と、ほとんどさじを投げていたのである。

 しかし舞は「難しいからこそIWAKURAでやりたいんです」と熱弁。笠巻に対して、過去にピンチを切り抜けてきたのは「チャレンジするのやめへんやったからじゃないですか?」と問い詰めていた。

菱崎工業の荒金から新型ボルトの試作を打診された舞とめぐみ。トップ画像ともに©NHK

 最終的には舞の熱意に折れて、社長も職人たちも試作に乗り出すことを承諾。実際に試作を始めてみるも、金型にヒビが入るなど相当難しい作業であることが示されていた。そんな筋書きに、視聴者のほうはどうにも納得がいってなかったのである。

「結局のところ舞を突き動かす原動力は『父の遺志を継ぎたい』という観念的なものであり、技術的に可能かどうかの問題は『チャレンジする』との精神論で突破しようとしています。その姿は『ちむどんどんする!』という自らの胸の高まりだけで何事も押し通してきた、前作『ちむどんどん』のヒロイン暢子とそっくり。自らの思いに周りを巻き込んでいく姿は、自分勝手と指摘されても致し方ないでしょう」(前出・テレビ誌ライター)

 作中では浩太の夢を実現したい舞の行動を、賞賛すべきものとして描いている。しかし現実的に考えれば、ベテランの職人たちが「どんな機械が必要なのかもピンとこない」「雲をつかむような話」と指摘するほどの難しい作業を、精神力だけで突破することなど不可能なのは明らかだろう。

 その無鉄砲さを作中では「チャレンジ」と言い換えてはいるものの、視聴者としても自分をIWAKURAの職人に置き換えてみたら、「勘弁してくれよ」となるもの。なかには<営業は現場を理解していない>など、自分の経験をもとに舞の言動を批判する声もあった。

「しかし朝ドラではヒロインがどれほど無鉄砲であろうとも《チャレンジしたい》という前向きの意志さえあれば、応援すべきとの方向性になっているようです。巻き込まれる周りのほうはいい迷惑ですが、いずれは試作が成功してシャンシャンとなるのでしょうか…」(前出・テレビ誌ライター)

 SNS上では舞の言動を「ちむどんどん」になぞらえて、「ねじどんどん」と呼ぶ向きすらある。ともあれ暢子レベルの無鉄砲さは仕事面だけにしてもらい、他人の恋人を略奪婚するような姿だけはご勘弁いただきたいものだ。