【カムカムエヴリバディ】時代劇ファンも納得!ひなたが日本刀を抜くシーンのこだわりがスゴかった

 時代劇ファンや歴史好きは、その場面に思わずニヤリとしていたことだろう。

 2月15日放送のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第74話では、ヒロインで高校3年生の大月ひなた(川栄李奈)が「ミス条映コンテスト」にて、演技審査に挑む場面が描かれた。

 茶屋の娘に扮したひなたは、悪漢たちにさらわれそうなところを侍に助け出される。ところがその侍役は、ひなたが店番をしていた回転焼き屋に現われ、嫌味をぶつけていった“不愛想な男”(本郷奏多)。それを思い出したひなたは助けてくれたお礼を言うべき場面で侍の刀を奪い取り、その場で切り捨てたのだった。

 子どものころから時代劇が大好きで、チャンバラに興じていたひなた。それゆえ刀で相手を切り捨てる姿も実に様になっていた。そんなシーンに、時代劇ならではのこだわりが見受けられたというのだ。

「侍の刀を奪い取ろうとしたひなたは、下から持つように逆手で刀の柄を握りました。これが普通の女の子なら、そのまま順手で柄を握っていたはず。ひなたが逆手で刀を抜いたのは、刃が上側に付いていることを知っていたからです」(歴史に詳しいライター)

憎き侍を切り捨てたひなた(川栄李奈)。刀の抜き方も様になっていた。ドラマ「カムカムエヴリバディ」公式インスタグラム(@asadora_bk_nhk)より。

 日本刀を腰から提げる時には、刃が上を向くようにするのが正しい向き。日本刀には独特の反りがあるため、そのほうが鞘から抜きやすいのである。それゆえ日本刀を刀掛けに置く際も、刃を上にして上向きのアーチを描くようにするのが正しい向きとなっている。

 ところが一部の時代劇やマンガでは、刃を下にして日本刀を提げるという誤った構図で描かれるケースが少なくない。それこそ「カムカムエヴリバディ」にも登場する映画村のような施設では、一般人が侍体験で腰に刀を提げる時に、多くの人が刃を下にしてしまうという。

「それが『ミス条映コンテスト』のシーンでは、本郷の演じる侍が正しい向きで刀を提げていたのですから、さすがはNHKだと感心しましたね。そのNHKでは現在、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を放送中で、主役の北条義時(小栗旬)が刀を腰に提げています。その場面では刃が下を向いているのですが、これはこれで正解。というのも義時が持っているのは日本刀ではなく太刀であり、太刀は刃を下に向けて提げるものだからです」(前出・ライター)

 江戸時代の侍は刃を上に日本刀を提げ、平安~鎌倉時代の武士は刃を下に太刀を提げていた。朝ドラと大河ドラマでそういった時代考証がしっかりとできているのは、NHKならではの場面と言えそうだ。