なぜそんなにニコニコしていられるのか? 視聴者も呆気に取られていたようだ。
6月6日放送のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」第41回では、ヒロインの比嘉暢子(黒島結菜)が東京・銀座の繁華街を歩いている際に、兄の賢秀(竜星涼)を見つける場面が描かれた。
賢秀が路上販売していたのは「紅茶豆腐」なる謎の飲み物。肥満解消、睡眠不足解消、血行促進に効くとの口上だが、どうやら値段が高いらしく、あまり売れていないようだ。するとそこに現れた東大卒を名乗る男(我那覇)が、世界的に認められた紅茶豆腐がついに日本上陸かと感心した様子を見せ、一度に5本を購入。その姿に周りの客も釣られ、競うように買い求めていたのだった。
「ネット上では賢秀が詐欺に加担しているとの声もありますが、彼自身は『これ本当に健康にいいですねえ!』と商品の効用を信じながら飲んでいましたし、暴利ではあっても詐欺には当たらないでしょう。ただ問題は、紅茶豆腐の販売でタッグを組んでいる相手が我那覇良昭(田久保宗稔)だということ。かつて賢秀を投資詐欺で欺き、960ドルもの大金をだまし取った悪人と組んでいる姿に、視聴者から《お人よしが過ぎる!》との声があがるのも当然です」(テレビ誌ライター)
我那覇から呑み込みが早くて商才があるとおだてられ、「我那覇さんのおかげです」と頭をかいていた賢秀。どうやら東京のパチンコ屋で偶然に再会したらしく、我那覇は「沖縄では迷惑かけたね、あん時は俺もまんまと騙されて」と言い訳だ。
すると賢秀は「信じてましたよ。我那覇さんは人をダマすような人じゃないって」とニコリ。どうやらダマされやすい性格は3年経っても少しも変わっていない様子だった。
ここで我那覇から日当として五百円札2枚を受け取ると、満面の笑みを見せた賢秀。「紅茶豆腐」はおそらく1本1000円で路上販売しており、我那覇の手には数万円の現金が握られていたが、そこからたった1000円をもらっただけでまたもや我那覇のことを信じていたのである。
「賢秀のもらった1000円は、現在では5000円ほどの価値でしょうか。それっぽっちの手間賃で口の上手い賢秀を雇えるなら、我那覇のほうは大儲けでしょう。そもそも大金をダマし取った犯人を見つけたのに、賢秀がその我那覇とあっさりと仲直りしているのもおかしな話。投資詐欺に遭った当時は我那覇と出会ったハンバーガー店の店内をめちゃくちゃに壊すほど暴れていたのに、その怒りはいったいどこに消え去ったのかが謎です。果たしてパチンコ屋で出会った時に二人の間でどんなやり取りがあったのか。ぜひそこも描いてほしかったですね」(前出・テレビ誌ライター)
昭和49年の為替レートは1ドル=300円だったので、960ドルをダマし取られた賢秀としては28万8000円を受け取らない限り、我那覇を許すことはできないはずだ。それがたったの1000円で丸め込まれているのだから、どれほど彼の頭はおめでたいのか。路上販売の様子を見ていた妹の暢子としても、気が気でならないのではないだろうか。