旅行マニアも大興奮!「舞い上がれ!」で舞たちが五島を訪れた旅程に「次への展開」が見えた

 考察がしっかりしているドラマには、作品の裏側を探る楽しみ方もあるようだ。

 11月15日放送のNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」第32回では、長崎の五島にいることが判明した梅津貴司(赤楚衛二)に会いにいくため、ヒロインの岩倉舞(福原遥)と幼馴染の望月久留美(山下美月)が東大阪から五島に急行する様子が描かれた。

 その場面に旅行マニアや飛行機好きが大興奮しているという。それは本作がしっかりと考察を重ねたうえで制作されているからだというのである。

 小3だった1994年に、転地療養のため五島に住む祖母・祥子(高畑淳子)のもとを訪れていた舞。その時は長崎港からフェリーで、五島の福中港(現実の福江港)を訪れていた。

 それが今回、舞と久留美は「五島福中空港」(現実の五島つばき空港)に到着。いち早く貴司に会うため、鉄道+フェリーではなく、空路を選んでいたようだ。その旅程に熱い注目が集まっているという。

「五島つばき空港にはかつて、大阪・伊丹空港からの直行便が飛んでいた時期もありましたが、作中の2005年3月には休止済み。関空からの直行便は夏だけの季節運航ですので、二人は福岡空港か長崎空港で乗り継いだはずです。舞が自宅を出た時にはまだ小鳥がチュンチュン鳴くなど早朝であることを示唆。舞の自宅がある東大阪市から伊丹空港に行くルートは複数ありますが、おそらくは近鉄で大阪上本町駅か大阪難波駅まで行き、そこから空港バスを利用したのではないでしょうか」(トラベルライター)

 果たして二人は福岡と長崎のどちらを経由したのか? 一見、どうでもよさそうな話にも思えるが、実はけっこう重要な要素だというのである。その理由は物語の中でしっかりと示されていたというのだ。

「久留美は幼いころに両親が離婚し、母親は福岡に住んでいます。毎年、誕生日には母親からバースデーカードが送られており、その封筒にしっかりと『福岡市早良区』と明記されていましたからね。そうなると久留美としては福岡経由にすることで、五島からの帰りに母親に会いたくもなるというもの。学費免除を受けつつアルバイトにも精を出す久留美には福岡に行く旅費もままなりませんが、今回は貴司を探しに行くという非常事態ですから、旅費は貴司の両親が負担してくれたはず。それを機に、母親に会いに行くのは十分にあり得る話です」(テレビ誌ライター)

 どうやら貴司に会えた後、東大阪に戻る道すがら、久留美は母親に会いに行くことになりそうだ。前週の11月11日に放送された次週予告では、久留美が妙齢の女性とお茶をする様子が映し出されており、どうやら今週内には久留美が福岡に立ち寄る姿を見られることになるだろう。

久留美宛てのバースデーカードには母親の電話番号が記載。市外局番の092は福岡市の番号だ。©NHK

 そしてもう一つ、旅行マニアが興奮していたポイントがあるという。それは五島福中空港に降り立った舞と久留美がタクシーで、貴司がいるはずの大瀬埼灯台に向かった場面だ。

 空港のある福江島はわりと大きな島で、空港から灯台へはタクシーで約50分、9000円もの距離がある。ここをタクシー移動するのはなかなかの贅沢だが、灯台から最寄りのバス停は徒歩1時間も離れているため、ここでのタクシー利用は想定内だろう。

「なにより注目は二人が乗り込んだタクシーの窓。そこには『初乗り 520円』とのステッカーが貼ってあり、2005年当時の料金を反映していたのです。現在、福江島でのタクシー初乗り料金は600円なので、ちゃんと時代考証したうえで、昔の料金が印字されたステッカーをわざわざ制作したことになります。そんな制作陣の取り組みは、沖縄・山原村から東京への旅程が一切描かれなかった前作の『ちむどんどん』とはまさに対極的ですね」(前出・トラベルライター)

 この調子なら「舞いあがれ!」では今後も、旅行マニアを興奮させてくれるような旅程が描かれることに期待できそうだ。